――今までおうかがいしてきたのはアナログメモによるアイデアの発想法になりますが、デジタルでこれに近いものはありますか?

僕はデジタルでマインドマップ※が描ける「MindManager」(マインドマネージャー)という有料のアプリケーションを使っています。これはデジタルでありながら自由自在にメモがとれるので重宝しています。本を書くときは必ずこれで項目を立てて具体化していきます。

※あるキーワードやイメージを図の中央に置き、そこから放射状に発想を広げていく図解表現技法。通常紙とペンを使用するが、パソコンソフトも各種発売されている。

会議やミーティングにもよく使っています。会議では一度にさまざまな意見が出されますが、マインドマネージャーならすばやく入力することができますし、その図をスクリーンに映しながら話し合えば、全員で共通理解ができるので効率的に進みます。

このような会議を「議事録ドリブン」会議と呼びます。通常なら議事録は会議の後で作成するものですが、これは議事録を作成しながら会議をすすめていくわけです。こうすると議論がテーマからそれてしまうこともありませんし、会議が終わるのと同時に議事録も完成されるので、あとから作る手間もかかりません。参加者にデータを送信すれば紙に印刷して配布する必要もないので、飛躍的にビジネスの効率化が図れると思います。

Kindleで読書スタイルが一変する!?

――「決まらない」「時間が長い」といった会議のイメージを覆すものですね。ほかにデジタルによって従来のイメージやスタイルが変わりそうなものはありますか?

「読書」のスタイルですね。

――電子書籍が一般的になるということでしょうか?

おそらく書籍の8割は電子化されるのではないでしょうか。この流れは間違いないと思いますね。

――小山さんの読書スタイルや読書メモ術はどのようなものですか?

すきま時間を利用して読書をすることが多いのですが、まず通常の本を読むときのメモ術としては、ポップアップ式の透明な付せんを本の裏表紙に貼っておき、必要になったら、ティッシュのように取り出して貼ります。ただこのままだと単なるストックになりがちなので、そういう意味でもアマゾンのkindle(キンドル)※に注目しています。

小山さん私物のKindle。今後、日本人の読書スタイルをどう変えていくのかが注目される

※インターネット小売り最大手、米アマゾン・ドット・コムが開発発売した電子書籍リーダー

今は英語の書籍しか読めないのですが、このKindleには「ハイライト機能」があります。いわば蛍光ペンで気になる部分に線を引くようなもので、その線を引いた部分を後でまとめて抽出できるんです。僕はこれでおもしろいアイデアをどんどん記録しています。こうしたハイライトは、将来的にソーシャルブックマークのように、読者の間で共有されていくのではないかと思っています。多くの人がハイライトをした部分を抽出して読む、といった新しい読書スタイルも生み出されるのではないでしょうか。

――デジタル化すると、完全な「ストック」であった本を「フロー」にすることができますね。

さらに「Kindle for iPhone」というアプリも無料で公開しているので、それをインストールすればiPhoneで書籍を見ることができます。ですから最近はよくkindleとiPhoneを使って読書をしています。

「Kindle for iPhone」スクリーンショット

本も「ストック」から「フロー」へ

――今後の読書スタイルのイメージとしては、どのようなものが考えられますか?

本のデジタル化が一般的になれば、今度は読みながらツイッターでつぶやくことも考えられますね。今までの読書は単に「ストック」を体験するだけだったのですが、デジタル化によって読者は「フロー」を体験するようになります。いわば野球の実況中継のようにツイッターでつぶやくことで自分の読書体験が記録されていき、それが「フロー」となって次々とアイディアが生まれていく。そういう風に変わっていくのではないでしょうか。

今まではメモというと「ストック」の発想しかありませんでしたが、デジタルであれアナログであれどんどん「フロー」にして、自分の発想の糧にしていくことができるようになるでしょう。

(撮影 : 中村浩二)

INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)

中国新聞社記者、全国紙系編集プロダクションのライターを経て入社した企画会社で2008年、良書の著者にインタビューするポッドキャスト「人生を変える一冊」をスタート。配信後2カ月でiTunes store podcastビジネスランキングで21日間連続1位を獲得、月間20万DLの人気番組に成長する。独立起業した現在は、インタビューやライティングに加え、ポッドキャストを軸にしたコンサルティング、コンテンツプロデュースなどを行っている。
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