博報堂は17日、2010年度から実施が予定されている「子ども手当」について、受給対象予定の子どもを持つ世帯の意識や使途に関する調査結果を発表した。これによると、「教育・育児」に限定使用するとの回答は67.3%、「生活全般」で使用するとの回答は30.9%だった。

調査は、博報堂の教育コミュニケーション推進室が、給付対象となる現在中学2年生以下の子どもを持つ保護者を対象に、2009年10~11月に実施。1,418人から有効回答を得た。

子ども手当の使い方(使途・時期)(出典 : 博報堂報道用資料)

これによると、「子ども手当」が給付された場合、使用時期に関わらず「教育・育児の費用」を使途範囲としている層は67.3%で、全体の3分の2を占めた。この層の使用時期をみると、「将来的に、教育・育児に使う」は全体の42.5%で、「給付された年度内に、教育・育児に使う」の24.8%を大きく上回っており、「子ども手当を教育財源ととらえる層では、短期ではなく中長期的な使途意向が見受けられる」(博報堂)。

一方、使用時期に関わらず「生活全般で使用」とする層は30.9%だった。この層の子ども手当の使用時期については、「将来的に、生活全般に使う」は6.4%と少なく、「給付年度内に、生活全般に使う」が24.5%を占めた。この結果について博報堂では、「子ども手当を生活財源ととらえる層では、短期的な使途意向が強いことがうかがえる」と分析している。

また、「経済的に余裕があると考える層」(22.1%)と「余裕がない層」(43.9%)で比較すると、「給付年度内に、生活全般に使う」と回答したのは、余裕がある層は18.8%、余裕がない層は30.7%。「給付年度内に、教育・育児に使う」と回答したのは、余裕がある層は23.2%、余裕がない層は27.1%となり、いずれも「余裕がない層の方が、短期的な消費意向を持っている」(博報堂)ことを示す結果となった。

保護者が考える具体的な使途では、「学校の費用」(18.9%)がトップ。「通塾」(補習目的=8.8%、受験目的=6.8%)、「学習参考書・辞書購入」(5.6%)などのほか、「スポーツクラブ/教室」(16.2%)、「衣類・ファッション」(10.8%)、「音楽教室」(8.3%)など、「子どもの学習・教養・趣味など使途範囲が分散している」(同社)ことが分かった。

小学5年生以下の保護者層で「給付された場合には私立中学進学を検討する」と考える"子ども手当に伴う受験参入層"が8.4%いることも明らかとなった。「給付に関係なく検討」(14.2%)と回答した人に上乗せすると、「子ども手当の存在が首都圏・関西圏での私立中学受験規模を伸張させる可能性も予見される結果になった」(同)としている。

子ども手当給付と私立中学校受験の検討意向(出典 : 博報堂報道用資料)