11月2日、明治大学内にて『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』の佐藤監督、井手プロデューサーによる"働くこと"についてのトークイベントが開催され、明治大学からは4年生の平石貴之さんと保坂美紗さんが登壇、率直な意見交換を行った。

左から井手プロデューサー、佐藤監督、保坂さん、平石さん

まず映画の中で登場した「定時なんて都市伝説だ」というセリフについて尋ねられた佐藤監督は、「都市伝説でしょう(笑)」と答えつつも「ブラック企業を助長しようとは思っていないけど、どういう仕事かによってもそれは変わる。デスクワークとかだと定時で終わらないと嫌だよね。今の子たちは、自分がやりたい仕事を自分がやりたいだけやって、自分の余暇は自分で作って……って思ってるんじゃないかな」と世代間のギャップについて言及。

「監督をやりたいなって思っていたら映画撮れるようになって、アカデミー賞取れないかなって思っていたら取れて……幸せ者!(笑)」と照れながら自身の経歴を語る佐藤監督

就職氷河期に株式会社サイバーエージェントに入社し、それから数回転職を経験したという井手プロデューサー

井手プロデューサーは「人によって何がブラックと感じるかは違うと思う。私も遅くまで働いているし、そういう意味ではこの業界はブラックだと思いますが、自分がやりたくて仕事をしていることを考えると、ブラックでもないのかなと」と、自身の仕事環境について語った。

また、すでに就職活動を終えたという平石さんは、「就職活動でブラック会社をどう見分けたのか」という質問に対して、「Googleで『会社名 ブラック』と検索してたくさん出てきたら、少し不安」と、インターネット時代ならではの技を紹介。一方で保坂さんは、「私はブラック会社については調べませんでした。何か一つブラックな要素があるとすぐブラック企業だと言ってしまう傾向がありますが、それも良くないと思う」と発言。これに佐藤監督は、「それは過敏すぎるかなという気もしますね」と頷いていた。

平石さん「社会に対して広くアンテナを張るべき」保坂さん「女性の皆さんは外資系企業をどんどん受けてほしい」

続いて、「どうやって自分のやりたいことを見つけたのか」という質問が出ると、佐藤監督は「僕も皆さんぐらいの歳の頃は明確に決めていたわけじゃなかった。ぼんやりと人に何かを伝える仕事をしたいなとは思っていたから、つてを辿ってTV業界に入ったけど、最初の3カ月は給料が9,000円でした」と、自らのブラック会社体験を明かした。

同質問に「私は自己分析をしっかりやりました」と答えた保坂さんは、自分の性格について「『こっちの方がいいですよ』とプレゼンするよりも、相手が求めるものをそのまま提供したいタイプ。私はMっ気があるので(笑)」とちょっとしたカミングアウト(?)を交えながら話し、自己分析と併せて"女性が働きやすい環境"を考えた結果、外資系IT企業を選択したと回答。また大手化粧品会社に就職が決まっている平石さんは、「親に自分がどういう仕事をしていそうか尋ねたら『ファミレスにいそう』と言われたり、自己分析したら向いている職業にトリマーが出てきたりしました(笑)。自分に何が向いているのかわからないなら、自分がどういうときに楽しいと感じるかを考えてみると良い結果につながると思います」と、集まった後輩たちへアドバイスを述べた。

最後に佐藤監督は、集まった約200人の現役大学生へ向けて「学生と社会人の違いは皆さんが思っている以上に大きい。どんな会社でも得るものは必ずあるので、ポジティブに考えて一歩踏み出してほしい」とエールを送った。

白熱した意見交換は1時間近くに及んだ

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』は全国ロードショー中

(C) 2009 ブラック会社限界対策委員会