「この名作、何かがおかしい――」。登場人物は全員「男」! 名作文学の描く濃密な人間関係を妄想たっぷりの新解釈でお届けするドラマCD「名作文学(笑)」シリーズ。その第1弾として、太宰治原作の「走れメロス」が7月24日にリリースされる。「シスコン」のメロスに「苦労性」のセリヌンティウス、そして「ツンデレ」の王様……。この3人が繰り広げる「走れメロス」はいかなる世界観を展開するのか?

■「名作文学(笑) ドラマCD『走れメロス』」あらすじ
暴君ディオニス王を諌めようとしたメロスは、王の怒り触れ、処刑されることに。処刑を受け入れたメロスだったが、最後に溺愛する妹の結婚を見届けるため、いつも迷惑をかけている親友・セリヌンティウスに身代わりを頼み、都を発つ。許されたのは3日間。メロスは親友を救うことが出来るのか――?


小野大輔と杉田智和が語る「名作文学(笑) ドラマCD『走れ☆メロス』」

小野大輔(左)と杉田智和(右)

名作文学をリスペクトしたドラマCD「名作文学(笑)」シリーズ。その魅力を探るべく、第一弾「走れ☆メロス」の収録後、メロス役の小野大輔とセリヌンティウス役の杉田智和を直撃し、収録を終えた感想や本作の聴きどころなどを語ってもらった。


――ドラマCD「走れ☆メロス」の収録を終えた感想はいかがですか?

小野大輔「喉が枯れました(笑)。台本をいただいたときに感じたのは、昔からある名作文学ということで、『(笑)』とはついていますが、やはりそのマスターピースを、しっかりとドラマCDとして演じなければいけないというプレッシャーと、プラス、ト書きに『走る息 はあ、はあっ』というのが多いこと、多いこと(笑)。収録前から、これは大変だと思っていたのですが、思ったとおり、非常に熱量のいる収録でした。その分、魂を込めて、メロスと同じ心境になって気持ち良く演じることができたと思います」

杉田智和「演じながら、学生時代に教科書で学んだ「走れメロス」を思い出していました。『名作文学(笑)』と称されていますが、自分たちの芝居も『(笑)』とされないように、努めて演じました」

――今回のドラマCDの聴きどころや印象に残ったシーンがありましたら教えてください

小野「本編は、デフォルメはされてはいますが、基本的には原作の持つ魅力というものをしっかりと投影したドラマCDになっていると思います。ただやはり、原作を読んでから聴くほうがいいかもしれないなと思いました。そして、(CDに収録される)『おまけ』は、絶対に先に聴かないほうがいいと思います。『(笑)』の部分は、『おまけ』のことだと僕は解釈していますので、聴きどころというより聴き方としては、原作、ドラマCD、『おまけ』という順番で楽しんでいただければよいと思います」

杉田「個人的なオススメのポイントは、メロスと妹婿との会話です。現場ではずっと後ろから見ていたのですが、小野さんの喉がいつ爆発するのかとずっと心配していました。渾身のシーンとなっていますのでご期待ください」
小野「原作よりも切れやすいんですよね、メロスは。だから、そこは叫ばなくてもいいのに叫ぶとか役者側発信の味付けをした部分がけっこうあります」
杉田「一周まわって面白いと思わせる人間性だからこそ、心を閉ざした王の何かを動かしたのかもしれないですね」

――今回演じられたキャラクターについて教えてください

小野「メロスはピュアでしたね。そして、すごいアスリートだなと思いました(笑)。テストも含めると、ずいぶんと走りましたが、人間はモチベーションがあれば、自分が思いもしないような能力を出せたり、限界に達した人間はひとつ高いところにいけたりするのではないかとあらためて感じました。演じている際、すごく酸素が薄くなってきて、だんだん僕もハイになってきたのですが、そんな中で最終的に残るのは、自分が何で走るのかというモチベーションなんですよね。それが友情だったというのが彼のピュアさであり、演じていて、そのピュアさが嬉しくて、よりメロスというキャラが好きになりました」

杉田「性格付けに関しては原作と大差ないと思っています。セリヌンティウスはメロスの親友なのですが、多少目上の立場、兄のような立ち位置ととらえると、キャラクターがよりわかりやすくなった気がします。演じながら再確認したことは、人質になると申し出たのはセリヌンティウスではなく、メロスが発案したことなんですよね。これが原作どおりなのかどうか気になったので、もう一度読み返そうと思います」

――今回、『名作文学(笑)』という形でデフォルメされたドラマになっていますが、その魅力はどこにあると思いますか?

小野「『おまけ』の部分ですね。『おまけ』の部分は、『本当にメロスなのか、これは?』というぐらい、二次創作のような感じになっています。アニメやドラマCDなど、僕たちが関わるメディアにおける作品の広げかたとしては、すごく面白いことだと思っています。でもこれを聴いて、「走れメロス」はこうなんだって思う中学生や高校生がいないことを祈ります(笑)。原作を先に読んでから聴いてほしいですね」

杉田「元となった作品とアレンジの差異を楽しむところですね。作品の一般への認知度の高さが、楽しみ方への門戸の広さにつながると思いますので、そのあたりに魅力があるのではないでしょうか」

――最後にファンの方へのメッセージをお願いします

小野「学生のときに読んではいたのですが、あらためてこの作品の魅力にふれたことで、なぜ時代を超えて愛されるのか、そして多くの人に愛されるのか、というところを実感しました。このドラマCDも、名作と呼ばれる作品はやはり良いものであると思ってもらえるきっかけになればよいと思いますし、もう一度その名作に触れるきっかけになればよいと思います。ぜひ原作を片手に聴いてください」

杉田「疑心暗鬼になりがちな、この現代の流れの中だからこそ、太陽のようなメロスの存在からは学び取ることや感じ取ることがとても多いと思います。今後とも『名作文学(笑)』シリーズをお楽しみください。よろしくお願いします」

――ありがとうございました


タイトル 名作文学(笑) ドラマCD「走れ☆メロス」
キャスト メロス / 小野大輔、セリヌンティウス / 杉田智和 ほか
発売予定日 2009年7月24日 品番 FCCN-0055
価格 2,625円
発売元/販売元 フロンティアワークス
販売協力 ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
(C)2009フロンティアワークス