WOWOWでは、4月14日から3週にわたり、『「和」の響き』と題して日本の伝統音楽を特集。14日の第1週は『鼓動公演スペシャル 万籟(ばんらい)の響~鼓動+新日本フィルハーモニー』交響楽団~』(19:00~21:00)、21日の第2週は『東儀秀樹コンサート2009~千年の旅路~』(19:00~20:40)、28日の第3週は『吉田兄弟全国ツアー2009「いぶき」~10周年記念スペシャル~』(19:00~20:50)をそれぞれ放送する。

日本の伝統音楽を3週にわたって送るスペシャル企画『「和」の響き』。日本以上に海外で有名な和太鼓集団の鼓童、雅楽の東儀秀樹、そして津軽三味線の吉田兄弟と、いずれも日本の伝統音楽を表現する海外でも人気のアーティストたちによる最高のライブパフォーマンスだ。放送に先駆け、それぞれの見どころなどをお伝えする。

佐渡島鼓童村の太鼓芸能集団がオーケストラとコラボレーション

『鼓動公演スペシャル 万籟の響~鼓動+新日本フィルハーモニー』

14日に放送する『鼓動公演スペシャル 万籟の響~鼓動+新日本フィルハーモニー』交響楽団~』は、1981年にベルリン芸術祭でデビューして以来、世界46カ国で3200回を越える公演を行ってきた佐渡島鼓童村の太鼓芸能集団・鼓童が、昨年12月11日に東京・すみだトリフォニーホールで行った公演の模様をおくる。冒頭、3人の男がトライアングルとなって力強い太鼓を打つ続ける『巴』からスタート。以降、縁日に出てきそうな6人編成の『扉』、和太鼓抜きの『HERO』や『木遣り』などを演奏する。

中でも、冨田勲作曲の『大宇宙』、『モノプリズム-日本太鼓群とオーケストラのための-』は、新日本フィルハーモニー交響楽団と鼓童のコラボレーション。圧巻の一言だ。また、純粋に和太鼓の醍醐味が堪能できる『三宅』、曲と曲の間に彼らの故郷、佐渡島鼓動村や練習場などを紹介する映像も見逃せない。

東儀秀樹が雅楽と現代音楽を融合

『東儀秀樹コンサート2009~千年の旅路~』

21日に放送の『東儀秀樹コンサート2009~千年の旅路~』は、東儀秀樹が今年1月4日に東京・国際フォーラムホールCで行った新春コンサートの模様をおくる。同コンサートは、古典の伝統美を伝える舞台と古典雅楽、現代楽器を融合させた演奏の2部で構成。東儀秀樹といえば、管楽器を思い浮かぶ方も多いはずで、そんな彼のイメージでもある管楽器と現代楽器を融合させた馴染みのあるパフォーマンスが繰り広げられる第2部がメインだ。だが、第1部にも注目して頂きたい。平安時代の衣服に身をまとい、東儀が琵琶を弾くのだ。時代は違うが、まるで戦神、上杉謙信の如く……。管楽器のイメージがある東儀が、琵琶を弾く姿には驚く。

1986年から宮内庁の楽師として活躍した彼にとって、当たり前のことなのかもしれないが、東儀秀樹というアーティストの音楽的な懐の広さを改めて思い知らされる。第1部の曲と曲の間に彼が語っているが、日頃はギターでブルースを弾くという。雅楽をバックグラウンドに持ちながらも、現代音楽に触れ、現代音楽と融合を図る音楽的視野の広さ。ジャンル分けが陳腐に思えるほど、器の大きさを感じずにはいられない。雅楽を知らない人でも、きっと心地良さを感じることだろう。

吉田兄弟の集大成

『吉田兄弟全国ツアー2009「いぶき」~10周年記念スペシャル~』

28日の『吉田兄弟全国ツアー2009「いぶき」~10周年記念スペシャル~』では、4月7日に東京・Bunkamuraオーチャードホールで行われたライブ映像を放送する。1999年のデビューから早10年。20代前半という若さでデビューし、今や日本はもちろん、海外でも評価を獲得しているワールドワイドなアーティストへと成長した。そんな彼らが行った今回のライブは、弟の健一が語ったように、吉田兄弟の集大成、そして未来を感じさせる内容となっている。津軽三味線というのは、不思議な楽器で、触れれれば触れるほど、奥深いものを感じずには居られない。吉田兄弟が弾くと、曲調にもよるのだが、元気も出てきて、その力強さに圧倒される。その卓越した演奏力を見れば、津軽三味線に馴染みのない方でも、感動することだろう。彼らの姿から、楽器を楽しむこと、音を楽しむという音楽のシンプルさが、垣間見えた。

古来から伝わる日本の伝統音楽が、ここ10年ぐらいで確固たる地位を築きつつある。今回放送する吉田兄弟、東儀秀樹などが、その流れを作ったと言っても過言ではない。沖縄音楽も、その流れをより加速させた。和太鼓は縄文時代、雅楽は平安時代、そして三味線は江戸時代から受け継げられてきたと言われている。いわば、本当の意味での、日本のオリジナルミュージックだ。三者三様、時を超えても色褪せることない美しい日本の伝統音楽。彼らの音楽に触れることで、日本古来の持つ伝統音楽の良さ、現代音楽と融合した平成という時代の伝統音楽を、再確認、もしくは新たに発見して欲しい。