今回ご紹介する映画は『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』です。

スト2にハマって成績が下がりまくった中2の夏を思い出す

ストリートファイターといえば言わずと知れた90年代を代表する格闘ゲームであり、最近では生誕20周年を記念して『ストリートファイターIV』が登場し話題を呼んでいますが、本作はそんな『ストファイ』のハリウッド映画版。

監督は『ロミオ・マスト・ダイ』のアンジェイ・バートコウィアクで、アクション監督は『マトリックス』シリーズのディオン・ラムと、まさに最強の布陣で臨みます。

僕の記憶が正しければ15年ほど前にもストリートファイターの実写映画版があったように思うのですが、ガイルが主役になっていたり、大人の事情でベガの名前がバイソンになっていたりとかなりファンキーな改変が行われており、どうも馴染めなかったことを覚えています(これは映画だけじゃなくてゲームの海外版でもそうなってるらしい)。

しかし今回はそんなことはないので大丈夫! ちゃんとベガはベガですよ! ただ主役はやっぱりリュウではなくて、タイトルでわかる通り春麗が主人公。……まあむさくるしいオッサンよりは美女が活躍する方がいいに決まっているわけで、そういう意味ではハリウッドグッジョブ!

春麗を演じるのは中国系の血を引くカナダ人女優、クリスティン・クルック

ではさっそく、あらすじをざっくりと紹介しましょう。

優しい両親に育てられ、香港の豪邸で何不自由なく暮らしていた少女・春麗(チュンリー)。しかしその幸せは長くは続かなかった。ある日突然、裏社会で暗躍する謎の組織シャドルーのボス、ベガが差し向けた巨漢バイソンが春麗宅を襲撃。父親を連れ去ってしまう。

やがて月日は流れ、父親を失った哀しみを背負いながらも春麗は美しく成長。病に倒れた母親を支えながら、ピアニストとして活躍するようになっていた。

そんなある日、春麗のもとに届けられた一通の絵巻物が彼女の運命を動かすことになる――。

初登場となった原作『ストリートファイター2』では、リュウやケンといった世界のファイターたちと戦いながらインターポールの捜査官として謎の組織シャドルーを追っていた春麗ですが、本作ではやや設定が変更されており、時系列的にはスト2よりも前。春麗がいかにしてファイターになったのか、という部分がメインに描かれています。

薄汚れてもその美貌は隠せない

基本的には原作の世界観に忠実に製作されているのですが、そのストーリー・キャラ設定には色々とツッコミどころも多く、たとえばベガは最初から最後までスーツに身を包み、しかもサイコパワーの"サ"の字も使いません。

こいつがベガだということに中盤まで気付きませんでした

こちらはバルログ。仮面のデザインが原作よりも野暮ったい気がする

またバイソンはボクサーというよりただの筋肉自慢男ですし、バルログに至っては熱狂的なファンなら卒倒しかねないレベルの設定変更が施されています(それが何かはネタバレになるのでぜひ劇場で!)。……ちなみにサガットは登場すらしませんでした。

ボクサーというよりもチンピラ

まあそんなオッサンの話はどうでもよくて、春麗の話に戻りましょうか。

今回春麗を演じるクリスティン・クルックは、米人気ドラマ『ヤング・スーパーマン』にヒロイン役として出演している26歳。体操や空手の経験もあるアスリート系女優ということで、春麗ファンも納得の動きを披露してくれます。

ただ納得がいかないのは、春麗のシンボルとも言うべきチャイナドレスをベースにした衣装がまったく登場しないこと。おだんご頭の方はちゃんと登場するので、どうせならあと一息がんばって春麗を完璧に再現してほしかったです。

貴重(?)な春麗のおだんご頭

……でもまあベガもビジネスマンみたいな見た目になってたし、確かにあのシリアスなストーリーにはそぐわない衣装なのかもしれないけどね。

ところで原作での春麗は百裂脚やスピニングバードキックといった強烈な足技が特徴のキャラクターですが、本作でもそのあたりは意識して作られているようで、ここぞというところでお馴染みの必殺技が登場します。……ただスピニングバードキックのシーンを見たときは、リアルにあの動きをされたらギャグだな、と思ってしまいましたけど。

注目はもちろん春麗の"脚"!!

でもクルックの美しい"おみ足"を存分に堪能できるので、そういう意味ではあのシーンはやっぱり必要です。

……と、こういうことを書くと、もしかして春麗のサービスカットがあるの!? と期待する邪な男性読者がいるかもしれないので先に釘刺しときますけど、残念ながらそういうのは全然ないです。残念です……本当に残念です。もし監督に会う機会があったら言ってやりたいですね。「春麗のサービスカットも入れずに何がレジェンド・オブ・チュンリーか」と。「男なら事務所敵に回してでもレジェンド作ろうぜ」と。

そうそう、さっきから春麗の話ばっかりしてますけど、リュウとかケンとかお馴染みの面々は今回登場しません。ゲンとナッシュは微妙に違う設定で登場しますが、ゲンはまだいいとして、ナッシュなんてファイターですらありません

原作での面影がまったくないナッシュ

妙に若々しいゲン

――ここまでの話でおわかりの通り、本作は原作そのままというわけではなく、あちこちにオリジナルの設定変更が加えられた別物として仕上がっています。

とはいえ原作ファンなら思わずニヤリとしてしまうしかけが随所に用意されていますし、逆に原作との違いにツッコミを入れたりして楽しめる作品ですので、リメイク物とかが苦手な方でもあんまり難しく考えずに気軽にご覧いただくといいんじゃないかと思います。

そこらへんのチンピラも普通にカンフーを使いこなす恐ろしい町、バンコク

そして、次回作ではぜひエドモンド本田が春麗にさば折りかけるシーンを入れてほしいと切に願います。

『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』は2月28日より全国ロードショー中です。

予告編動画

(C) CAPCOM CO.,LTD./Based on Capcom's Street Fighter Video Games