1月24日にフジテレビ系で放送されたドラマ『誰も守れない』に続き、本作でも息の合った演技を見せる佐藤浩市(左)と松田龍平(右)

「犯罪被害者の保護」をテーマに製作され、第32回モントリオール世界映画祭で最優秀脚本賞を受賞した映画『誰も守ってくれない』(君塚良一監督・脚本)が、24日に公開初日を迎えた。東京・有楽町でおこなわれた初日舞台挨拶では、主演の佐藤浩市、志田未来、松田龍平ほか豪華キャストが集結した。

主人公の刑事・勝浦を演じる佐藤は、「初日ということで、感無量で何と言っていいかわかりませんが……、ようやくこの日を迎えることができました」と挨拶。本作について、「自分が守るべき人たちの立ち位置や心情を、つねに見守っていかなければいけないと感じました」と語った。

仕事とプライベートは切り離して考えるという佐藤。だが今回は、「僕自身も家族を守る立場。でも『守る』がいつの間にか『守ってやる』になっていたとしたら……」と感慨深げ

映画PRのため全国を回ったという志田。最も印象に残った出来事を聞かれると、「名古屋のひつまぶしをたくさん食べたことです(笑)」。その言葉に観客からも「かわいい~」の声が

加害者の妹として、勝浦と逃避行を続ける少女・沙織役の志田は、「撮影中はほとんど浩市さんとお話できなかったけど、キャンペーンや取材の時にいろいろお話しました」とコメント。これに続けて佐藤が、「いろいろな場所に行きましたね。監督と一緒の時もあれば、未来ちゃんと一緒の時もあって」と言うも、「やっぱり彼女がいるとなんとなく……何ですかね?(笑)」と急に言葉を濁し、会場からも笑いが。「ちょっと今、取材は3人いたほうが楽だなと思ったんです。2人で行くと(取材時の受け答えなどが)けっこう大変なので」。

客に、「ドラマを見た後で、もう一度映画を見ていただけると嬉しいです」と松田。新婚であることを意識する様子もなく、いつものように淡々とコメントした

精神科の医師・尾上令子役の木村は、君塚監督から「セクシーな女医のイメージで」と言われたそう。ちなみに舞台挨拶では、自分の役名をド忘れしてしまい、苦笑いする場面も

佐藤と松田は、本作の公開と同じ日に放送された『誰も守れない』(フジテレビ系)でも、同僚の刑事役で絶妙のコンビネーションを見せた。この日の舞台挨拶では、佐藤は松田について、「いい意味で浮遊感があるというか。お互いに打ち合わせをしないくても、いざ芝居になるとすっと入れるんですよね。松田龍平はおもしろい男だなと思いました」。

柳葉敏郎は、事件で息子を失った過去を持つペンション主人の役。「監督に『奥さんの手を握らせてください』とお願いしたシーンがあって。いま思い出しても胸が熱くなります」

ペンション主人の妻を演じた石田ゆり子。「ロケは伊豆の……南伊豆?」と発言してしまい、君塚監督から「西伊豆です。皆さん役名とか地名は覚えておいてください」とツッコミが

一方の松田も、「(佐藤と)ご一緒できて、いろいろ刺激を受けました」と語ったが、MCから撮影中の印象深いエピソードについて聞かれると、2人で顔を見合わせたまま、しばらく無言。そして佐藤が、「ほとんど彼とは口きいてないんですよ (笑)」と言うと、会場は爆笑に包まれた。

佐々木蔵之介は、勝浦と沙織を追い詰める記者の役。「脚本も書かれた君塚監督の言葉は心強かったですね」と語るも、「どんな言葉を?」と聞かれ、「……忘れてしまいました(笑)」

佐野史郎は勝浦の上司役。「彼の行動は間違っていないと思うんですよ。でも結果的に浩市さんやギバちゃんに悲しい思いをさせて……。すみません」と自分のことのように平謝り

また、木村佳乃からは、「龍平さんとご一緒するのは初めてだったけど、想像していたのとまったく違って、本当に面白い方でした。癒し系タイプですよね」とのコメントが。これに対して、松田は小声で、「えーと……、ありがたく受け止めたいと思います」とあくまでマイペース。なお、松田は今月11日に入籍したばかりだが、この日は結婚に関するコメントはなし。だが共演者たちの言葉からも、松田の素顔が垣間見える舞台挨拶となった。

映画『誰も守ってくれない』は、全国東宝系にて公開中。