Booksベストセラー週間総合ランキング1月9日~1月15日では、『告白』(湊かなえ)が新登場でトップテン入り。『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(出口宗和)は順位を上げて1位を獲得。一部書店の店頭では注目の書籍として山積みにされている光景が見られる。

1月9日~1月15日のBooksベストセラー週間総合ランキング(日販調べ)

順位 書籍名(出版社) 著者
1位 読めそうで読めない間違いやすい漢字(二見書房) 出口宗和
2位 「脳にいいこと」だけをやりなさい!(三笠書房) マーシー・シャイモフ/茂木健一郎訳
3位 新装版 天地人 (上・中・下)(NHK出版) 火坂雅志
4位 悩む力(集英社) 姜 尚中
5位 O型自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
6位 A型自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
7位 かいけつゾロリ(5)イシシ・ノシシ大ピンチ!(ポプラ社) 原 ゆたか
8位 人間の覚悟(新潮社) 五木寛之
9位 B型自分の説明書(文芸社) Jamais Jamais
10位 告白(双葉社) 湊かなえ

新登場で10位に入った『告白』(湊かなえ)は、学校を舞台にしたミステリー小説。ある女性教師の子どもが校内で亡くなる。事故だと思われたが、終業式で彼女は恐るべき告白をする。我が子は事故で亡くなったのでなく殺された。そして、犯人はこの中にいる―。

小説は一章ずつ語り手を変えながらこの事件の真相と結末が明かされていく形式を取っているが、それぞれの人物の「告白」が人間の抱える底知れぬ闇と異常性を際立たせる。その反面、後味の悪さが残るとの声も少なくない。昨年8月の刊行だが、昨年の小説を振り返る各種企画で取り上げられたことからランク入りした模様。

『読めそうで読めない間違いやすい漢字』(出口宗和)は、少し賢くなった気分になれる実用性と税込500円というリーズナブルさとが受けている模様。総理による漢字の誤読が報じられたことが「自分は大丈夫?」との意識を多くの人に持たせたと見られる。

今週の注目

『営業日誌は書くな! 』(角川書店/笠原清明/705円(税別)

ビジネス書にはこんなタイトルが多い。一般に常識とされていることの逆を書いて目立たせようとしているのだ。そうわかっていても、ついつい「どうして?」と本を手にとってしまうのだが。ただし、この本にタイトルにある「営業日誌は書くな!」はそれほど突拍子のない提案ではないというのが多くの人の感想ではないだろうか。誰が読むかもわからない営業日誌を、毎日毎日時間を掛けて書くのは誰が考えても面倒くさく、時間の無駄だ。

本著の肝は、この「無駄」というところにあると言える。単に理屈や経験則でビジネスを説くのではなく、「社員を遊ばせていると儲かる」「パソコンは買い換えたほうが良い」など、著者が挙げる成功の秘訣はすべて徹底したコスト計算に基づいているのだ。

コンサルタント会社の代表を務める著者は、多くの経営者がコスト削減になると考えて行っている取り組みの多くを逆効果だと指摘する。極めつけは、「コピーの裏紙を使うな」。コピーの裏紙を使うと一見コスト削減につながっているようだが、実際の削減効果は微々たるものだという。著者は、その微々たるコスト削減をもたらすためにその何倍ものコストが増大しているという現実を指摘する。目に見えるコストだけを考えている経営者にとっては、まさに目からウロコの一冊と言えそうだ。