ブルー・ラグーンの面積は、5,000平方メートルにも上る。ゴツゴツした岩が転がる平原にポツンと建っているのだが、中に入ると大都会のレジャー施設顔負けで、実にモダンでハイテクな施設なのである。施設内にはカフェ、レストラン、ブルー・ラグーンの化粧品やバスグッズなどの揃ったショップなどがあり、丸1日いても飽きることがない。
さて、まず入り口で入場料(2,800アイスランドクローナ、約2,200円)を払うと、リストバンドをもらえる。これがブルー・ラグーン施設内でのロッカー・キーやお財布の役目を果たしてくれる。バスタオル、バスローブ、入浴用の水着(海外での温泉は水着着用がルール)などは貸し出しもあり、まさに至れりつくせり。
ブルー・ラグーンは名前の通り、本当に青い。そのコバルト・ブルー色からは想像しがたいのが、お湯は海水のごとくしょっぱい。深さはまちまちで、膝下くらい浅いところもあれば、つま先立ちでやっとのところもある。約5,000平方メートルもの広さがあるブルー・ラグーンを一周するには10分ちょっとかかる。露天温泉なので、底も砂だったり、岩だったりで海水浴をしているような感じでもある。
スパの温度は場所によって違い、温水プールのようにぬるい場所もあれば、熱めのお風呂くらい熱い場所がある。外気がマイナス10度くらいなので、顔がひやっとして心地よい。ぬるい所、熱いところを行ったり来たりしていれば、長く浸かっていてものぼせるということはまずない。
そのほかブルー・ラグーン施設内には、スチームサウナとフィンランド式サウナが付いている。筆者は、ブルー・ラグーンとサウナを行ったり来たりしながら、なんと4時間以上も浸かってしまった。だが、ほかの利用者も長く浸かっている人が多かったように思う。
そして、ぜひ試してほしいのがブルー・ラグーンの中に置いてあるシリカ・マッド・マスク(Silica Mud Mask)と呼ばれる泥マスク。角質を取り除く効果とディープ・クレンジング効果の高いケイ素が含まれて入る。顔に塗り、5~10分放置してから洗い流す。肌のすべすべ感が数日間持続するほどの効果があったので、ぜひお試しあれ。
ブルー・ラグーンは、日本のイメージの露店風呂というよりも、屋外の巨大スパ・リゾート。屋根も一切ないし、辺りにさえぎるものが全くないので、アイスランドならではの景色が楽しめる。風にたなびく蒸気の向こう側の太陽が、月のように白くはっきり見えるのは幻想的だ。また夜は夜で、星を見ながら温泉に浸れる。ブルー・ラグーン周辺は、オーロラスポットとしても有名で、運がよければオーロラを見ながら温泉……なんて夢のようなこともあるそうだ。スパ以外の施設も充実している。筆者は温泉から上がったあと、カフェで軽食を取り、帰りのバスの時間までお土産ショップを見て、丸一日をブルー・ラグーンで過ごしたほどだ。
また、人との交流も楽しみの1つ。「どこから来たの?」から会話が始まり、他の観光客とも話がはずむ。日本の温泉でもよく見られる光景であるが、ここブルー・ラグーンも例外ではない。筆者はアイスランドのヘビー・リピーターだというアメリカ人の男性と会話した。アメリカの大学で教鞭を取っていて、タームが終わるとすぐにアイスランドに温泉に浸たりにやってきたのだという。温泉のあとオーロラツアーに参加する予定という彼は、「今日は出ると思うよ」と言い残して去っていった。彼の言葉を信じ、オーロラツアーに参加した筆者が、無事オーロラを見られたのは言うまでもない。ゴールデン・サークルツアーに参加してから温泉に来たというカナダ人の若い女性からは、ツアーの感想など事前情報を聞くことができた。スパでの情報収集は役に立つこと間違いナシだ。
ブルー・ラグーンへは、各ツアー会社の送迎バスを利用するのが便利。例えば、空港からのシャトルバスを運営する、レイキャビック・エクスカーション社のバスであれば、1日に5便と頻繁にでている。空港にも近いので、レンタカーなどで移動するなら、到着後か出発前に立ち寄るという方法もある。この温泉に入るだけでも、アイスランドへ行く価値が十分ある! 、と思ってしまうのは筆者だけだろうか。