金融危機にさらされているアイスランド。だが、にわかに観光ブームが訪れているという。主なきっかけは、アイスランドの対為替レートがぐんと下がり、これまで「物価の高い国」だったアイスランドが、一気に身近な国になったからである。

現在、イギリス、ドイツなどのヨーロッパ諸国をはじめ、アメリカ、カナダからも多くの観光客が訪れているため、アイスランドの旅行業界は大忙しだ。ある現地旅行会社のスタッフの話によると、この冬は例年以上に予約が入って、嬉しい悲鳴だそう。ここが稼ぎ時とばかり、各社とも客の獲得に精を出している。急激な景気後退中のアイスランドだが、旅行業界に限っては好景気といった様子である。

観光客に人気の主なツアーは、オーロラ、大陸プレートの割れ目と間欠泉が見られる「ゴールデン・サークル」、そして天然温泉「ブルー・ラグーン」である。筆者はこの全てのツアーを体験したが、ここでは国土の一部が北極圏にかかるアイスランドの世界最大といわれる露天温泉「ブルー・ラグーン」を取り上げてみたい。

北緯63度~66度に位置するアイスランドだが、冬の寒さはそれほど厳しくない。というのも、島が火山島であり、島の周りをメキシコ暖流が流れているという恵まれた環境にあるからだ。火山は現在も活動しているので、至るところで温泉を噴出し、それを利用した温泉プールがあちこちにある。首都・レイキャビックの街を歩けば温泉プールにあたる……といった状態で、まさに温泉街なのである。アイスランドでは入浴が生活の習慣の一部。また、アイスランドの男女平均の寿命は81歳を超える長寿国。その理由は温泉水に含まれるゲルマニウム効果という説もあるくらいだ。

そのなかでも最大の天然温泉レジャー施設が、空港の南に位置する「ブルー・ラグーン」。レイキャビックの中心部からバスで40分ほど。目的地に近づくにつれ、モクモクと立ちこめる蒸気が見え、硫黄の匂いがプーンと漂ってくる。

ブルー・ラグーンから立ちのぼる大量の蒸気

(次ページでは巨大施設「ブルー・ラグーン」の全貌をお伝えします。)