学校や保護者が問題に気づいてきた"兆し"も

品川女子学院校長の漆紫穂子氏

ネットスターの調査によれば、大人は携帯サイトを主に「見に行くもの」、子どもは「参加するもの」ととらえており、親にとって子どものケータイ利用は理解しがたいものになりつつある。

群馬大学の下田氏は、このような「ケータイ」に対する親と子の意識の差が生じる原因について、「ネットサービスを提供する企業が説明責任を果たしていない」と指摘。

また、大人が「自分の子どもだけは特別と思っている」ことや、「携帯電話をただのおもちゃと思っている」傾向を挙げ、「きちんとした保護者啓発プログラムが必要」と、基調講演と同様の主張を強調した。

全国PTA連合会会長の高橋正夫氏

その上で、「学校も親も子どもを守るために気づいてきたという兆しもある」と事態打開へ向けた動きがあることに言及。

「まず、『こういうことを子どもがやっている』というライブ型の講習会などで驚いてもらうことから始めて、米国などでネットに詳しい父母を指す『ネットマム』をつくっていけばいいのではないか」と今後の展望を示した。

全国PTA連合会の高橋氏も、「親はまず現状を認識することが大切。PTAの会合でも、まずは親がしっかり勉強しようと呼びかけている。学校ごとに保護者がまとまって学習する機会をつくっていくなどが今後の取り組みとして求められる」と訴えた。

事業者も知らないような利用法が存在

ヤフーCCO兼法務本部長の別所直哉氏

ヤフーの別所氏は、「ネットサービスを行う企業はその機能について何でも知っていると思われがちだが、実は事業者の想定を超える使い方をされている場合も多い」と述べる。「事業者はネットの社会的機能をもっと知ると同時に、子ども達がどういう利用をしているかについて保護者らから教えてもらう必要もある。各種の講演会などを通じ、今何が起きているかを知りたい」と話した。

下田氏は「青少年ネット規制法によりフィルタリングソフトが義務付けられたが、ソフトに頼らない『人間フィルタリング』が必要。人間フィルタリングとは親の愛情そのものであり、『子どもを心配する力』と言っていい。地域での取り組みも最後は人であり、それをネットワークでつないでいけばいいのではないか」と、保護者や地域のネットワークによる取り組みを再度訴えた。

シンポジウムで報告のあった、ヤフーとネットスターが開発したインターネット利用リスク教育 保護者向けモデル教材である「中高生のお子さんを持つ保護者のためのインターネットセーフティガイド」は以下のURLとなっている。

http://www.child-safenet.jp/