借りるときは「だいじょうぶ、ラクに返済していける! 」と考えていた住宅ローン。ところが、年々返済が苦しくなっている……。そんな人のために毎月返済額を下げるための3つの対策を伝授しましょう。
ローンの毎月返済額を少しでも減らしたいと考えていて、手もとに100万円以上のまとまった資金がある人にオススメなのが、返済途中にある住宅ローンの元金の一部を返済する「繰り上げ返済」です。繰り上げ返済をすることで、返済期間はそのままで毎月返済額を少なくすることができます。さらに、繰り上げ返済をした元金にかかるはずだった利息がなくなるため、総返済額を減らす効果も。「手もとに使い道のない資金があるので、それを活用したい」「総返済額をできるだけ減らしてトータルでトクをしたい」という人に向いています。
返済期間はそのままで毎月返済額を減らす「繰り上げ返済の仕組み」 |
なお、1回の繰り上げ返済最低額は金融機関によって違っており、100万円以上のところもあれば、1万円、1,000円以上など少額から受け付けるところもあります。では、いくら繰り上げ返済をすると、また、どのタイミングで実行すると、どれくらい毎月返済額が少なくなるものなのかを、シミュレーションしてみましょう。
【Case1】いくら繰り上げたら、毎月どれくらいラクになる?
ローンの条件
借入額 : 3,500万円
借入時の金利 : 1%(固定金利選択型3年もの)
当初3年間の毎月返済額 : 9万8,799円
返済4年目以降の毎月返済額 : 12万9,375円(変動金利2.875%を選択した場合)
■返済4年目に繰り上げ返済をすることで毎月返済額はこれだけ下がる
繰り上げ返済額 | 毎月返済額 | 繰上げ返済しない 場合との差額 |
完済までのトクする利息※ |
---|---|---|---|
100万円 | 12万5,388円 | 3,987円 | 53万674円 |
300万円 | 11万7,416円 | 1万1,959円 | 159万2,023円 |
500万円 | 10万9,444円 | 1万9,931円 | 265万3,372円 |
800万円 | 9万7,486円 | 3万1,889円 | 424万5,396円 |
※完済までの金利が2.875%で変動しないと仮定した場合
3年前に3,500万円の住宅ローンを借り入れたケースです。借り入れた当初の金利はとても低い1%。この低金利が3年間続き、4年目以降は変動金利型の金利が適用になるタイプのローンです。返済からまる3年がたち、今の変動金利2.875%が適用されると、返済額は9万8,799円から12万9,375円にアップすることに。そこで繰り上げ返済を実行。100万円の繰り上げ返済では毎月約4,000円、500万円の繰り上げ返済でも毎月約2万円の減額。かなりまとまった資金を投入しても、「劇的な効果」、とまでは正直いえません。とはいえ、元金にかかるはずだった利息も減らすことができる、というのは大きなメリットでしょう。
【Case2】いつ繰り上げたら、毎月どれくらいラクになる?
ローンの条件(Case1と同じ)
借入額 : 3,500万円
借入時の金利 : 1%(固定金利選択型3年もの)
当初3年間の毎月返済額 : 9万8,799円
返済4年目以降の毎月返済額 : 12万9,375円(変動金利2.875%を選択した場合)
■繰り上げ返済をする時期でトクする利息はこれだけ違う(繰り上げ返済額300万円の場合)
繰り上げ返済時期 | 毎月返済額 | 完済までのトクする利息※ |
---|---|---|
返済開始から3年後 | 11万7,416円 | 159万2,023円 |
返済開始から10年後 | 11万5,342円 | 120万9,618円 |
返済開始から15年後 | 11万2,924円 | 94万8,199円 |
※完済までの金利が2.875%で変動しないと仮定した場合
繰り上げ返済は、いつ実行するかで減らせる毎月返済額の金額と、減らせる利息の金額が違ってきます。結論からいうと、「早ければ早いほどトク」。Case2の表を見てみましょう。どれも繰り上げ返済額は300万円。実行時期が返済開始から3年後と15年後では、毎月返済額の差は約4,500円ですが、完済するまでの利息の差は64万円以上。もし、使う予定のない300万円があるとすると、それを低金利の預金口座に預けておくより、早めに繰り上げ返済に使うほうがずっとトク、ということになります。
繰り上げ返済にかかる手数料は、銀行や金利タイプによって違う!
繰り上げ返済で注意したいのは手数料。無料の金融機関や住宅ローン商品もありますが、多くの場合手数料がかかります。手数料は金融機関や金利タイプ(固定金利か変動金利か)、繰り上げる金額によって違ってきます。一般的に、繰り上げる金額が多いほど、また、変動金利より固定金利のほうが手数料は高くなります。変動金利型のローンの場合は1回につき5,250円、固定金利型のローンで100万円以上1,000万円未満の金額を繰り上げる場合3万1,500円の手数料がかかるところが多いようです。これからローンを借りようという人で、繰り上げを積極的にする予定なら、手数料無料かどうかをチェックしておきましょう。