2004年末から導入されて以来、ほぼ右肩上がりで上昇してきた国際線の燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)。ここのところ原油価格が下落傾向にあることを受けて、シンガポール航空、エールフランスなど一部の航空会社で値下げするところがでてきた。しかし、多くの航空会社は高止まりのままで、JAL、ANAは10月から一部路線で上げ幅はわずかだが、値上げが決まっている。

燃油サーチャージが高額化したため、割引の種類や区間によっては本体の航空運賃よりも燃油サーチャージのほうが高額になるケースも出てきている。

たとえば、ANA10月発券分で東京からバンコク(タイ)の「スーパーエコ割」の往復航空運賃は3万4,000~3万9,000円だが、燃油サーチャージは往復4万円。燃油サーチャージのほうが高くなっている。

これまでせっせとマイルを貯めていた人の中でも「せっかく貯めたマイルだが、これじゃあ特典航空券に変えて気軽に海外旅行に行けなくなった」という声をよく聞くようになった。

おまけに、ガソリン代や食料品など物価高が家計を直撃し、給料は上がらないどころか、企業業績悪化で賃下げ世帯も珍しくない。この先、医療費、老後の生活資金、子どもがいるファミリーなら教育費などなど不安は募るばかり。

「物価高や子どもの教育費で海外旅行どころじゃない。貯めたマイルを生活費のやりくりに使えないかしら?」つい先日も、主婦向け雑誌のライターや編集者と話していて、こんな話題が出たばかりだ。

そんなときは貯まったマイルを使って電子マネーに交換し、家計のやりくりに役立ててみてはいかが?

電子マネー特典を利用する

貯まったマイルを電子マネーにチャージできるのが電子マネー特典だ。ANAマイレージクラブは電子マネーEdy、JALマイレージバンクは電子マネーWAONに交換可能でチャージできる。交換レートはどちらも同じで、ANAマイレージクラブの場合、1万マイルを1万円分の電子マネーEdyに、JALは1万マイルを1万円分の電子マネーWAONに交換できる。

Edyは使える店が多く、ローソンやファミマ、サンクス、サークルKなど多くのコンビニで使えるので、お弁当やおやつ、飲み物、雑誌などの購入に使える。また、大丸ピーコックなどのスーパーで使えるので、近くにお店があれば大助かり。さらにマツモトキヨシなどのドラッグストアでも使えるなど、利用範囲が広いので赤字気味の家計には大助かりかも。

WAONはジャスコやマックスバリュなどのショッピングセンターやスーパー、コンビニのミニストップなどイオングループのお店で使えるので、よく利用する人は大助かりだ。

ただし、電子マネー特典はANAマイレージクラブ、JALマイレージバンクとも1万マイル単位なので利用するには1万マイル以上貯めることが条件。国内線で割引運賃(換算率75%)だと東京から九州を往復してやっと850マイル、1年で貯めようとすると月1回以上往復するなど、かなり頻繁に搭乗していないとこれだけ貯めるのはむずかしい。

海外旅行や海外出張で、年に1回以上、欧米圏に行く人、アジア圏でも頻繁に行く人はフライトだけでも比較的貯めやすい。

年会費がかかるが、ANAカード、JALカードといった航空会社のクレジットカードに入会すると貯めやすい。JALカードの普通カードの場合、年会費は2,100円、入会して初めての搭乗に1,000マイルや毎年初回搭乗時に1,000マイルのボーナスマイルがつき、フライトマイル(搭乗して獲得するマイル)は区間マイルに25%加算される。このほか毎日の買い物や公共料金(電気、ガス、水道、固定電話、携帯電話)やプロバイダ料金などをカードで払えば、200円ごとに1マイル(特約店は100円ごとに1マイル)がつく。

ANAカード、JALカードでなくても、貯まったポイントをマイルに交換できるカードがあるので、手持ちカードの特典をパンフレットやサイトでチェックしよう。ただし、交換レートはカードによってかなりばらつきがあり、交換に別途手数料が必要な場合があるので、カードのポイントを使うのマイルに交換するのと、どちらがトクなのか見極める必要がある。

手持ちのマイレージプログラムのガイドブックやWEBで特典内容をチェック

Suicaやスーパーのポイントに交換する

JALカードにはJR東日本との提携カードJALカードSuicaがあり、その会員限定として貯まったマイルをSuicaにチャージできる。交換レートは1万マイルで1万円相当。おもに関東圏の電車の乗車やJRの駅中のショップ、コンビニなどで使える。

JALカードは電鉄系との提携カードがいくつかあるが、東急TOP&ClubQ JMBカードは貯まったマイルを東急ポイントに交換可能。交換レートは1万マイルで1万東急ポイント。東急グループのお店など、たとえばスーパーの東急ストアで1ポイント1円として買い物に使える。また、東急ポイントはPASMOにチャージすることもでき、交通費も助かるかも。

マイルの使い道は特典航空券のほかにもこのほかいろいろある。紹介したものは一例だ。燃料サーチャージがバカ高い今、特典航空券だけでなく、電子マネー特典やポイント交換特典などもチェックしてみよう。

丸田潔(マルタキヨシ)

1952年東京都生まれ。76年早稲田大学文学部卒業。編集プロダクション勤務を経て90年フリーに。マネーライターとして生活情報誌、主婦向け雑誌、マネー誌などで活躍中。金融商品や保険に関する記事のほか、家計や節約の実例記事を数多く手がけ、今までに取材した貯蓄・節約体験の実例は1,000例を超える。近著に「綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法」(永岡書店)