航空機を安全・確実に運航させるエアポート・マネージャー

2008年で日本就航60周年を迎えたブリティッシュ・エアウェイズ。イギリスのフラッグ・キャリアとして知られ、成田からロンドンまで毎日2便、週14便を運航する。この運航が安全確実にオンタイムで遂行されるように成田空港で管理監督を行うのが、エアポート・マネージャーである谷治美佐子さんの仕事だ。

ブリティッシュ・エアウェイズでエアポート・マネージャーを努める谷治美佐子さん

「パイロットやフライトアテンダントなど専門職に比べると、とても地味な仕事ですね。ですが、航空機が安全に運航するためには欠かせない業務です。基本はセーフティ(安全)、セキュリティ(保安)、パンクチュアリティー(定刻運航)。これは入社の時に教えられ、ずっと心がけていることです」。

搭乗中のブリティッシュ・エアウェイズの航空機

谷治さんのキャリアの始まりはチェックイン・エージェント。以来、空港業務一筋にキャリアを積んできた。「帰国子女で幼いときから空港には馴染みがありました。日本と海外を行き来するなかで、航空会社の地上スタッフには大変良くしてもらったという思いがあるのです。それで、就職の時には自然と航空会社の地上職を選んでいました。お客様の立場をよく知っている私だからこそ、より良いサービスを提供できるのではないかと考えました」。

そんな谷治さんが感じる仕事の面白さとは「さまざまな人と出会えること」という。「思い出に残っているのは、2002年に日韓で開催されたFIFAワールドカップの時のこと。当社ではイングランド・チームのためにチャーター機を用意したのですが、当然のことながら試合に勝てばチャーター機の出番はありません。この時は試合の様子を見ながら、空港に駆けつけるタイミングを計っていましたね」と笑う。

2002年の大会にはデイビッド・ベッカムやマイケル・オーウェンらが活躍し、日本でもイングランド・チームは大人気に。ベスト8まで残り、準々決勝でこの大会で優勝したブラジルに敗れ、帰国の途に着くことになった。「ファンが殺到し、空港で混乱が予想されたので、選手とその家族は別ルートで機内に誘導する予定でした。ところが、家族から"自慢の息子や夫と一緒にファンの歓声を聞きながら機内に乗込みたい"という要望が寄せられたのです。それで急きょ、選手と家族を一緒に誘導することになりました。その時の家族のみなさんの幸せそうな顔がとても印象に残り、思い出深い仕事のひとつとなっています」。