矢野経済研究所は、外国為替証拠金取引(FX)市場についての調査を実施、このほどその結果を発表した。それによると、2008年3月期の市場規模(預かり証拠金残高)は6,964億円、口座数は前年比91.9%増の123万口座となった。

この調査は今年5月から7月にかけ、FX専業会社、証券会社、新規参入会社など128社を対象に、直接面接ならびに電話・E-mailなどによるヒアリングによって行われたもの。

今年に入ってソニー銀行楽天FXなどの新規参入、また既に参入している証券会社によるFX専業会社の設立等が相次ぎ、業界の動きは活発。手数料の無料化やスプレッド競争の本格化、レバレッジの多様化も目立ち、商品・サービスの差別化によるアクティブユーザーの争奪戦が激化している。同社ではこうした競争の激化とこの1年の円高傾向が、預かり証拠金残高、口座数、取引量、企業収益に影響を与えたと分析している。

昨年同社が行った調査では、2007年3月期のFX市場規模は6,133億円で、前年(2006年)比62.2%増だった。この時点で2008年3月期の見込み値は8,314億円だったが、結果としては2007年と比べて13.5%増の6,964億2,400万円。昨年のサブプライムローン問題を背景に円高が進んだ影響で残高の減少した企業が少なくなかった一方、大きく残高を増やした企業もあった。

預り証拠金残高(市場規模)推移
※矢野経済研究所推計

口座数は昨年同期の64万口座に対して123万口座と大幅に増加。2~3倍以上の伸びを見せた企業もあったという。これは各企業のセミナー実施などによる顧客開拓のほか、高スペック商品の投入、投資コスト低減などによる利便性の向上が背景にあるとしている。

FX口座数推移
※矢野経済研究所推計

調査企業によると、顧客数の増加が続く中、今年4月以降の緩やかな円安相場を受けて取引が復調しているとの声も多い。また、大きな顧客基盤を持つネット銀行の参入や、アクティブ層向けFX専業会社の設立が相次いでいるなど、競争が激化しているものの、市場の活性化はさらに進むと考えられる。これらのことから、同社では2009年3月期の市場規模を約30%増の9,060億円、口座数は約40%増の179万口座に達すると予測している。