都内スタジオにて3月10日、新作アニメ『カイバ』のアフレコ取材が行われた。『カイバ』は記憶をテーマにしたSFアニメで、WOWOWにて4月10日から毎週木曜深夜0時の放送が予定されている。全12話。
監督は劇場版『クレヨンしんちゃん』シリーズの作画で活躍し、『マインド・ゲーム』『ケモノヅメ』といった監督作で高い評価を得ている湯浅正明氏。今回手がけるのは大人も楽しめるSFファンタジー、それだけでなくサスペンスや恋愛の要素も大きく入っているとのことで、キャラクターのかわいい見た目に油断していると、かなり驚かされる作品になりそうだ。
<ストーリー>
記憶のデータ化ができるようになり、肉体の死がもはや死とは呼べなくなった世界。
記憶はデータバンクに保存され、新しい身体への「乗り換え」や、記憶の売買といったことが可能になり、違法に記憶を改ざん、記憶を盗むことも行われていた。社会は混沌とし、力を失い停滞化していた。
あるとき、壊れた部屋の中で目覚めた男がいた。彼の名はカイバ。自分の記憶がない。ペンダントの中には知らない女の写真が……。空には怪しく動く電解雲、街では記憶狩りが横行している。
突如襲われ、宇宙へ逃げ出すことになったカイバは、星をめぐる中、様々な人と出会い、記憶を取り戻してゆく。かつて苦悩し続けた、この世界の矛盾や腐敗と自分の存在を。
そしてペンダントの中の女・ネイロのことを……。
「どれが僕? 君はダレ? どれが君? 僕はダレ?」
ふたりが再び出会ったとき、いったい何が起こるのか?
![]() |
ちょっと懐かしい匂いのするキャラクターたち。下段中央がカイバ、その左隣のオレンジ服の女性がネイロ、上段右の赤い服の人物がポポ。キャラクターデザインは『ケモノヅメ』でも湯浅監督とコンビを組んだ伊東伸高氏 |
アフレコ取材では記憶喪失の主人公、カイバを演じる桑島法子、カイバの運命の女性となるネイロ役の能登麻美子、カイバの正体を知る男、ポポを演じる朴ロ美(「ロ」は正しくは「王」へんに「路」です。以下同)の3人が出席。まだまだ謎だらけの作品について、どこまで明かしていいのか3人とも四苦八苦(?)しつつも『カイバ』に取り組む意気込みが語られた。
![]() |
人気も実力もトップクラスのメンバーがメインキャストを固めている。左からネイロ役の能登麻美子、カイバ役の桑島法子、ポポ役の朴ロ美 |
桑島法子(カイバ役)
「カイバは記憶をなくしている男性で、見た目のキャラクターがかわいらしい感じなんですけど、年齢的には大人という設定です。自分の記憶をいろんな体に入れることによって、乗り変わっていくので、どんどん見た目は変わって旅をしていくキャラクターのようです。記憶がリセットされて無垢な状態からスタートするらしいので、『こういうことがあったからこう演じよう』という過去をあまり決め込まずに、頭を柔らかくして臨んでいます。監督がいろいろスケッチブックに図解して説明してくださるので、その講義を聞いている状態です。わからないところも楽しんでいただける作品だと思いますので、ぜひご期待ください」
能登麻美子(ネイロ役)
「ネイロはカイバと出会って恋仲になる女の子です。見た目は少女なんですけど、中身はハタチそこそこぐらいの女性で、というイメージです。なにやらこの先人格が変わる……ような人です。体が変わっても記憶が続いていくというのはとくに意識はしないで、フラットな感じで入っています。ともすると絵本の世界みたいな印象を受けて、ちょっと独特の不思議な感じがするなと思いました。余白もいっぱいあると思うので、そういったところも含めて楽しんでいただけたらなと思います」
朴ロ美(ポポ役)
「ポポはカイバとは相対する立場と思われる青年で『一想団』という対抗勢力的なグループの幹部らしいです。この作品は面白いんですけど、複雑なのでDVDを買うことになると思います(笑)。独特の世界観に引きずり込まれる魅力があるなあと私自身思ってます。人間の記憶というものに対して、優しく語り掛けてくる力のある作品です。いろんな感覚を刺激されて楽しめる作品だと思いますので、ひとりでも多くの方に見ていただきたいと思っています」
この日は2回目のアフレコで、第10話を先に収録してから第1話の収録が行われたとか。終盤の話数のあとに初回を収録、という制作状況からも『カイバ』が謎が謎を呼ぶ展開となっているのはどうやら間違いなさそうだ。WOWOWでは湯浅監督の前監督作『ケモノヅメ』も4月14日から一挙オンエアするので、こちらも合わせてチェックしておきたい。個性あふれる湯浅監督作品は「ちょっと変わったアニメが見たい」という方にとくにおすすめのプログラムとなっている。
(c)2008湯浅政明・マッドハウス/カイバ製作委員会