クエンティン・タランティーノ監督をはじめ世界中に多くのファンを持つ映画監督・石井聰亙。都内にて、『石井聰亙映像作品集 DVD-BOX II ~PSYCHEDELIC YEARS~』の発売を記念して、収録作品である『水の中の八月』(1995年)の上映イベントが開催された。トークショーには、映画監督の石井聰亙と13年前に本作で主演デビューした女優の小嶺麗奈が登場した。

左から小嶺麗奈、石井聰亙監督

『水の中の八月』は福岡を舞台に繰り広げられるスピリチュアル・ファンタジー。街が謎の超常現象に見舞われる中、水泳高飛び込み選手の少女が人知を超えた存在と出会うことになる

本作でデビューを果たした小嶺は「(監督が厳しくて)自分は日本で一番辛い中学生かもしれないと思っていた(笑)」と撮影当時を振り返った。それを聴いた石井監督は「彼女が隠れて泣いていたのは知っていました(笑)。でも、厳しく演出しました」とコメント。トークショーは石井監督と小嶺の再タッグ作品となった『ユメノ銀河』(1997年)の話にも及んだ。浅野忠信が演じるバスの運転手に恋するバスの女車掌を演じた小嶺からは「役に入り込みすぎて、現場を離れても浅野さんのことが大好きになっていました」という、今だから話せる裏話も飛び出した。

最近、恋人問題で話題の小嶺

カルト監督として評価の高い石井監督

短編作品『鏡心』(2005年)以来、新作を監督していない石井監督は「とにかく脚本を書く日々でした。今年は何が何でも1本、形にします。アクション映画を撮るつもりです」と力強く宣言。戦争ものや近未来の革命を題材にしたものなど、少なくとも4本の企画が進行中とのこと。新作前の集大成的意味もある今回の『DVD-BOX II』について石井監督は「(デジタルリマスタリングした)いい状態で作品を残せた。それがいい作品を創ろうと一緒に闘ってきたスタッフに対する義務でもある」と自信を覗かせた。どうやら今年は、本格的に再始動する石井監督の新作を観ることができそうだ。

石井聰亙

1957年生まれ。日本大学芸術学部入学直後『高校大パニック』(1976年)を監督し衝撃デビュー。その後も『狂い咲きサンダーロード』(1980年)、『爆裂都市 Burst City』(1982年)など問題作を連発。『エンジェル・ダスト』(1994年)でバーミンガム映画祭グランプリ受賞、『ユメノ銀河』(1997年)でオスロ映画祭グランプリ受賞と、世界で高い評価を得て、「日本のカルト監督」の地位を確立。はかにも、『五条霊戦記』(2000年)、『ELECTRIC DRAGON 80000V』(2001年)など、代表作多数

『石井聰亙映像作品集 DVD-BOX II
~PSYCHEDELIC YEARS~』
現在発売中 24,990円
発売元:トランスフォーマー
※収録作品『逆噴射家族』(1984年)、『LIVE FRICTION 1989』(1989年)、『水の中の八月』(1995年)、『指圧王者』(1989年)、『TOKYO BLOOD』(1993年)、『鏡心(3DサウンドHD)完全版)