さて、いくら説明を聞いても実際乗ってみなければその魅力は伝わらないということで、今回、体験飛行に参加させてもらえることになった。

このツェッペリンNT号の全長は75.1m。標準的なボーイング747-400の全長が70.1mということからも分かるように、とにかく大きい。その機体の下に、最大客席数12名のキャビンが取り付けられている。

機内は両サイドに1列ずつ、計10席が客席として配置されている。革張りで座り心地の良いシートだ

エンジンは機体両サイドに2基、後方に1基の計3基で、これらを使って機体の推進や方向転換を行う。キャビンは大きくはないが、窮屈な感じもなくゆったりと座ることができる広さがあり快適だ。

機体についているプロペラは、基本的には推進と方向制御のために使われる。浮力は安全なヘリウムガスによって得ている

ツェッペリンNT号キャピンの後部にあるパノラマ席。離陸後、安定飛行に移ったら、この場所に移動して地上の景色を楽しむことができる

離陸時に少々エンジンの音が気になるが、離陸してしまうと、不思議とエンジン音は小さくなり、キャビン内でも普通の声量で会話が楽しめる。離陸時の感覚は飛行機やヘリコプターのような急激なものではなく、熱気球のようにふわりと浮き出す感じで気持ちがよい。

 
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地上から離陸するツェッペリンNT号。ゆっくりと大空に舞い上がる感じで、飛行機とはひと味違った迫力がある

安定飛行になると、シートベルトを外してキャピン内を歩き回ることができる。筆者も後方のパノラマ席やコクピット等を見て回った。巡航速度は対地相対速度で65km/h~85km/hと高速道路を移動する程度の速度で、航空機としてはゆっくり移動する。そのため、遊覧飛行というより、「空中散歩」といった感覚になるのが印象的だ。

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操縦中のパイロットを後ろから見ることができるようになっているのも飛行船ならではの光景だ
 

高度約300mから眺める地上は程よくディティールがわかり、人の姿も確認できる。ちょうど東京タワーの展望台より少し高い位置から見下ろす感じである。また、飛行中は揺れも少なく、安定していることから、乗り物酔いになりやすい人でも大丈夫と思われる。

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ゆっくりと飛行するため、地上の景色を充分楽しむことができるのも魅力の一つ。なお、飛行船は空中で停止することできる

最大人数8名のクルーズ、クリスマスや正月は早めの予約を

ツェッペリンNT号による同クルージングの最大搭乗人数はワンフライトで最大8名。実際はパイロットを除いても10名分の席があるが、重量等の余裕を見ての配慮と言う。そのため、人数にも限りが出てくるため、早めに予約しないと飛行船に乗れない可能性も高い。クルージングの料金は、月~金のデイフライトが1名12万6,000円、土・日・祝日が13万6,500円、1/1~1/3は14万7,000円となる(フライト時間は13:30~15:00と15:00~16:30の2便、木・日は12:00~13:30を加えた3便)。また、日~木のナイトフライトが13万6,500円、金・土が14万7,000円、12/22~25日が16万8,000円となっている(フライト時間は16:30~18:00と18:15~19:45の2便、木・日は1便のみ)。

なお、受付は25日よりJTB西日本「飛行船観光クルーズデスク」にて行われる。電話、FAXのほか、メールやウェブサイトからも予約可能だ。 「ウェブサイトやメールでの予約が電話予約より受付が遅い、ということは一切ございません」(JTB西日本広報担当)とのこと。また、2008年3月下旬~5月上旬にはクルージング企画第2弾として、関西での就航を予定している。

体験飛行中に撮影した飛行船から眺めた夕日。このようなシーンをのんびり楽しめるのも飛行船クルーズの魅力といえる