日産自動車は、3.8LV型6気筒ツインターボエンジンとデュアルクラッチトランスミッションを搭載したR35型の「NISSAN GT-R」を12月6日より発売する。これまでの「スカイライン」ブランドから独立した初めてのGT-Rとなる。価格は777万円で、内装色などを変更した「GT-R Black edition」が792万7,500円、専用BOSEサウンドシステムと盗難防止システムなどを搭載した「GT-R Premium edition」が834万7,500円。ボディカラーはアルティメイトメタルシルバー、タイタニアムグレー、ホワイトパール、バイブラントレッド、ダークメタルグレー、スーパーブラックの6色が用意される。

NISSAN GT-R アルティメイトメタルシルバー

フロントビュー バイブラントレッド

リアビュー アルティメイトメタルシルバー

「NISSAN GT-R」は、「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」というコンセプトの元に作られたフラッグシップカーで、日産では「マルチパフォーマンス・スーパーカー」と位置づけている。

エンジンにはこれまでの直列6気筒エンジンにかわり、新たに3.8L V型6気筒ツインターボエンジン「VR38DETT」がフロントミッドシップ搭載された。プラズマコーティングボアシリンダーやエキゾーストマニホールド一体型ツインターボを採用したことにより、3200~5200rpmで最大トルク588Nm(60kgm)、最高出力は353kW(480PS)を6400rpmで発生する。また、排気2次システムの採用により、10・15モードで8.2km/Lというスーパーカークラストップレベルの低燃費と、平成17年度基準排出ガス50%低減レベル(U-LEV)に適合するクリーンな排出ガスを実現した。

トランスミッションは、新開発の「GR6型デュアルクラッチトランスミッション」で、パドルシフトを備えた6速ATとなる。動作モードは、円滑さのあるNormal、静かな走り出しと滑りやすい路面用のSnow、最速走行時にパフォーマンスを発揮するRモードの3つが用意される。また、スロットル位置、車両速度、ブレーキなどの情報から次のギヤを予測、パドルシフトの操作とともにギアチェンジを予測し、0.5秒(Rモードは0.2秒)でギアチェンジを行うF1並みの変速レスポンスを持つという。フロアシフトでAレンジを選択すると、走行状況に応じて自動変速されるアダプティブシフトコントロールも採用する。また、坂道発進補助装置を備え、登坂路でも制動力を維持する機能を持つ。

また、世界で初めてクラッチ、トランスミッション、トランスファーを車両後方に移動させ、リヤファイナルドライブと一体化した「独立型トランスアクスル4WD」を採用した。エンジンとトランスアクスルを結ぶ駆動軸はカーボン複合材が採用され、前輪駆動用にはトランスミッションから前輪へスチール製のシャフトで接続される。横滑りを防止するビークルダイナミクスコントロール「VDC-R」も搭載、通常使用用のNormal、前後輪の制動力を最適に分配するRモード、作動をキャンセルするOffの3つのモードも備える。

サスペンションはBilstein製ダンプトロニックシステムを採用し、ダンピングを自動制御するNormal/Sportsと、乗り心地を良くするComfort、コーナリング時の減衰率を最大にするRモードの3つのモードを備え、ドライバーが選択できる。サスペンション形式は、フロントはダブルウィッシュボーン式、リアはマルチリンク式。中空スタビライザーバーも標準装備する。ブレーキはBrembo製でフロントにはモノブロック対向6ポッド、リアには4ポッドキャリパーと、Φ380mmのフローティングドリルドローターを採用する。ホイールは、フロントが20×9.5"、リアが20×10.5"の軽量鋳造アルミホイール。タイヤサイズはフロントが255/40R20、リアが283/35/R20で、ブリヂストンRE070Aかオプションのダンロップ製の窒素ガス封入大容量ランフラットタイヤが装着される。ランフラットタイヤの採用により、パンク状態でも80km/hで80kmの距離を走行できる。

エンジンやトランスミッションはクリーンルーム内で一人のエンジニアによって組み立てられ、全数を性能検査するほか、熟練の検査ドライバーが全車のエンジン、トランスミッション、ブレーキの調整を行ってから出荷される。また、特別教育を受けた認定カーライフアドバイザーと認定テクニカルスタッフが常駐するショールームと、特別サービス工場を備えた日産ハイパフォーマンスセンターを設置するという。特別メンテナンスとして、従来の品質保証に加え、1000km走行時、12、24、36カ月経過時に無償でエンジン、ミッション、ホイールアライメントの計測及び調整を実施し、スーパーカーとしての性能保証をするという。

インテリアには、走りながら車両のセットアップが行えるセットアップスイッチをインパネ中央に搭載。トランスミッション、ショックアブソーバー、VDC-Rのモード切り替えが行える。また、最適な使用方法をドライバーに伝えるため、HDDナビ「カーウイングスナビゲーションシステム」にマルチファンクションメーター機能を追加、水温や油温、油圧、前後トルク配分、ブースト圧、ハンドル操作やアクセル、ブレーキ操作などの履歴を表示する機能も持つ。センターコンソールにはシフトゲージと赤いエンジンスタートボタンが配置される。フロントシートは本革とアルカンタラを採用したコンビシートで8段階のパワーシート機能とシートヒーターを備える。ハンドルとシフトノブは本革巻き。エアバッグなどを含む車両重量は1740kg、車両総重量は1970kg。

インパネ

ナビだけでなく各種情報の表示機能も持つセンターディスプレイ

マルチファンクションメーターの表示。水温や油温、油圧などを表示できる

マルチファンクションメーターの表示。アクセル開度やブレーキ量などの履歴を表示することも可能

セッティングを変更するセットアップスイッチ

インテリア

インテリア(Black edition)

エンジン「VR38DETT」

パワートレイン。トランスアクスル4WD

リアディフューザーはカーボン製