記憶を失った男が、失われた過去を取り戻すためにさまざまな陰謀と戦う『ボーン』シリーズ最新作にして完結作『ボーン・アルティメイタム』が11月10日に公開される。これに先駆け18日、主演のマット・デイモンが来日。東京・六本木で記者会見&ジャパンプレミアが行われた。
シリーズ第1作『ボーン・アイデンティティー』(2002年)では記憶を失い、第2作『ボーン・スプレマシー』(2004年)では恋人を殺されたマット・デイモン扮するジェイソン・ボーンが、再び過去の断片を頼りに動き出し、行く先々で待ち受けるさまざまな謀略と罠に立ち向かっていく。果たして、過去を失ったボーンに未来はあるのか?
主演のマット・デイモンは、米・フォーブス誌でブラット・ピットやジョニー・デップを抑え、「最も稼げる俳優」に選ばれるなど、今アメリカで一番ノッている俳優の一人。3度目の来日となる今回の記者会見には、"爽やかな体育会系"モードで登場した。まずは、完結編を迎えた心境について「今はホッとしてるよ。このシリーズは毎回、挑戦的な作業だったけど、今回が一番大変だったからね。何しろ、試写会の1週間前に完成したんだから」と苦労を覗かせる。それもそのはず、シリーズの見どころであるアクションは特にこだわり、迫力あるシーンに仕上がっているとの事で「マンハッタンでカーチェイスだよ? クレイジーだよね。それに、監督は常に脚本を直しながら撮影してたから、ストレスもあった。ただ、そのストレスがボーンには良いらしくて、結果的に役作りに反映できたんだ(笑)」と振り返る。トレーニングも撮影前から始めていたようで、強靭な肉体と精神を持ち合わせているデイモンだからこそ、実現したシーンも多かったようだ。
そんな強靭なデイモンにも強敵が。「ロケ先に家族を呼んで、一緒に過ごしていたんだけど、娘の夜泣きで眠れない日々が続いたんだ。それに動物園や水族館には何度も行ったよ(苦笑)。娘を楽しませるのが一番大変だったかもしれない(笑)」と家族思いの一面も見せる。「子供ができて、何もかもが怖くなったよ。いろいろなものから守らなくちゃいけないからね」と、さらに好感度を上げてどうする、と思うくらいの子煩悩。これもデイモンの魅力だろう。
続いて行われたジャパンプレミアでも、好感度メーターは急上昇。デイモンはレッドカーペットに入るなり、真っ先にファンの前へ駆け足で近寄り、1人1人のファンと向き合う。盛り上がりは最高潮に達し、会場となった東京・六本木ヒルズアリーナは異様な熱気に包まれた。
題名にもあるアルティメイタム(ULTIMATUM)とは最後通告という意味。過去と決別するためにボーンは最後通告を叩きつけ、シリーズも今回で完結。ところが「もし、(ポール・)グリーングラス監督から『もう1回やらないか?』と言われたら、やりたいね。まだ、ボーンというキャラクターを埋葬する準備ができていないんだ」と、デイモンは何やら匂わせる発言を。本当に完結するのか、それとも……。ボーンの行く末が気になる『ボーン・アルティメイタム』は、11月10日より、日劇1ほかにて全国ロードショー。