決勝進出者

  • スイス / Anna Kaeppeli氏
  • 日本 / 宮前みゆき氏
  • イギリス / James Hoffman氏
  • ニュージーランド / Carl Sara氏
  • アメリカ / Heather Perry氏
  • ブラジル / Silvia Magalhaes氏

見事宮前氏が決勝進出となり、会場は大盛り上がり。ユニフォームから私服に着替えていた決勝進出者たちは、競技中とは違う素の表情を見せ、選手同士で抱き合って喜びを分かち合うシーンも。見ているこちらまでもがうれしくなるような一幕だった。

スイス代表のKaeppeli氏と宮前氏。見ているこちらも元気をもらえそうな笑顔だ

決勝進出者の集合写真。前列はスイス代表のKaeppeli氏と宮前氏。後列左側からアメリカ代表Perry氏、イギリス代表Hoffman氏、ブラジル代表Magalhaes氏、ニュージーランド代表Sara氏

ここからは、決勝進出者発表の翌日、同会場で行われた決勝の様子をレポートする。

スイス / Anna Kaeppeli氏

まず1番目に登場したのがAnna Kaeppeli氏(スイス)。審査員にアルプスのミネラルウォーターをサーブし、競技を開始した。シグニチャー・ビバレッジとして、エスプレッソや蜂蜜、バニラーソースなどをシェーカーでシェイクしたものを提供。胡椒やナツメグなどのスパイスをきかせた内容だった。審査員に自己紹介や商品説明をする口調は非常に優しく、ミルクを注いだり、エスプレッソを淹れる時でさえ柔らかな手つきだったのが印象的。競技終了後は充実感からか笑みがこぼれ、「競技を楽しめました」と語っていた。

競技中のKaeppeli氏は、まるで優しく楽器を奏でているよう

日本 / 宮前みゆき氏

そしていよいよ宮前氏。Kaeppeli氏の競技中、隣のブースで淡々と準備を進めていた宮前氏は、司会者からの「調子はいかがですか」との問いかけに、「少し緊張しています」。しかし、そんな緊張を感じさせない爽やかスマイルで競技がスタートした。

「エスプレッソを通じ、多くのお客さんや仲間と出会い、たくさんの感動をもらいました」と話しながら、まずはエスプレッソを抽出。ブラジルやエチオピア産の豆をブレンドしたというエスプレッソは、「カップに口をつけたときはフローラルなテイストを、口に含むと初めはカカオ、その後にグレープフルーツのような爽やかさを感じることができます」と説明を加えた。

次にカプチーノ。カプチーノはエスプレッソが入ったカップにミルクを注ぐ際、巧みな技術によって表面に模様を描くことができる。これを「フォームアート」と呼ぶが、宮前氏はハートとリーフ模様のカプチーノを制作していた。そしてシグニチャー・ビバレッジ。決勝大会で制作するシグニチャー・ビバレッジは全選手共に予選と同じものとなるので内容説明は省略するが、見所をいくつか取り上げていきたい。

無事にカプチーノ4杯が完成

まず注目を浴びたのが茶筅。そう、抹茶を点てるあの道具である。宮前氏は茶筅を使ってエスプレッソやキャラメルクリームなどを混ぜ合わせるといったパフォーマンスを披露。シグニチャー・ビバレッジの提供が終わると、審査員1人ひとりに小さなブーケをプレゼントするといった心遣いも見せた。

シグニチャー・ビバレッジをつくる宮前氏

ここで読者の方の中には、「技術を競う大会の中で、どうしてそんなパフォーマンスが必要なのか」と疑問を持つ方もいることだろう。しかし、バリスタという職業は単なるコーヒー抽出師ではない。人に接する仕事なのだから、お客さんをもてなそうというホスピタリティの精神も必要とされる。WBCの審査基準の詳細が公表されていないので断言はできないが、おそらく無表情で淡々と競技を進めるよりかは、笑顔で審査員に語りかけながら作業を進める選手のほうが高得点であろう。そういった"+αな部分"に配慮できるということは、肝心な技術面に自信があり、心の余裕があるという証にもなるのではないかと思う。

話がそれてしまったが、無事に競技を終了した宮前氏は、「昨日の予選より、英語がスムーズに話せなくて、苦労しました」とコメント。司会者は「WBCは英語のコンテストではないので心配無用ですよ」と話し、会場の笑いを誘っていた。後日聞いた話だが、宮前氏の競技中には、約3,000人の観客が集まっていたという。テレビカメラも多数入り、注目度の高さをうかがわせた。

この"宮前スマイル"を日本の観客は待っていたのだろう