反則金と罰金の違い

まずは刑事処分について解説します。交通違反は犯罪行為ですから刑事上の責任を負い、裁判で審理を受けなければいけません。しかし、すべての違反者が裁判の審理を受けると、検察や裁判所がパンクしてしまいます。そこで違反行為のうち軽微な違反行為(点数1~3点の違反)を「反則行為」と呼び、期間内に「反則金」を納めることで、裁判による審査が免除されます。これを「交通反則通告制度」といいます。軽微な反則行為の際に渡される「交通反則告知書」が青い紙のため、俗に「青キップ」と呼ばれています。反則金を払えば刑事上の責任は終了します。しかし、取り締まりや処分などに不服があれば、反則行為でも刑事手続きを経て通常の法廷裁判に進むことも可能です。

「罰金」は反則行為より重い違反行為に課せられ、重い違反は(違反点数6点以上)や人身事故を起こした人に「通知票」という赤い紙が渡されますが、これが「赤キップ」と呼ばれるものです。赤キップを渡されると、青キップと違って必ず刑事裁判を受けなければなりません。刑事裁判で違反した事実を認め、検察官が「略式裁判」による処理が妥当と判断した場合は、書面上だけで簡易的に裁判が進む略式裁判を受けられます。そして裁判で下された罰金を支払えば刑事処分は終了となります。事実に不服があれば、略式裁判ではなく通常裁判を受けることもできます。重大な過失が含まれる人身事故、度重なる酒気帯び運転、80km/h以上の速度超過など、違反した内容が悪質であると検察が判断した場合は、略式裁判を受けることができず強制的に公判請求される場合もあります。

このように「反則金」と「罰金」は、同じように思えますが全く別物です。罰金の金額は過去の例からある程度推測はできますが、正しくは裁判によって決まりますので、反則金のように事前には分かりません。

反則金納付の流れ

裁判を免除される青キップが切られた場合には、いっしょに反則金の納付書が渡されます。この納付書に反則金の金額・納付期限が記入されています(納付期限は7日間)。期限以内に反則金を郵便局や銀行で納付します。本人以外の人が納付することもできます。

期限が過ぎても青キップの右上に記載されている「交通反則報告センター」に出頭すれば新しい納付書が交付されます。ここで渡される納付書の期限は、交付された翌日から10日後となり、反則金の金額は変わりません。それでも反則金を支払わないと、取締りを受けた日から30~40日前後で、配達証明つきの反則金納付書が送られます。反則金の金額は変わりませんが、郵送料の800円が加算されます。納付期限は、それを受け取った日の翌日から10日以内です。

罰金納付の流れ

略式裁判を承諾した場合、簡易裁判所に出頭し、検察官から簡単な質問の事実確認をされます。違反事実を認めると書類のみで裁判が進み、その日のうちに判決が下されます。略式裁判は100パーセント有罪判決になり、罰金金額が決められます。東京・神奈川地区では、判決が下された罰金はその場で即納しなければいけません。罰金を納めるのは取り調べが行われた検察庁のみで、振り込みは一切受け付けていません。ただし他の地区では判決文とその判決に基づいた罰金刑の金額が明記された振込み用紙を後日郵送する場合もあるようです。

交通違反取り締まり

罰金刑以上の刑罰

交通違反や交通事故の内容が極めて悪質、もしくは違反を繰り返し再犯率が高いなど、検事が罰金刑以上の処罰が適当と判断した場合は、通常の法廷裁判が開かれ禁固または懲役刑となります。しかし前科がない、今後違反を犯す可能性が少ないなどと裁判官が判断を下した場合は、ほとんど執行猶予が付き、即実刑になる可能性は低いようです。