天体観察にちっと興味はある。でも、望遠鏡を買うお金も、ちゃんと使う時間も技術もないし、というあなたに「世界の宇宙窓」をご紹介いたします。はい、インターネットごしに宇宙が観られるのでございます。ちょっと話題になっている天体や星空などを、場合によってはプロの機材で見られますゾ。たいていはタダで。

むかしは、図鑑か天文雑誌でないとみられなかった天体写真。インターネットのおかげで本当に手軽に見られるようになりました。方法はカンタンで、googleなどの画像検索で「惑星」とか「大星雲」とか適当な宇宙ワードを入れればよいのでございます。いや、見事な映像がどっちゃりどっちゃりです。

もちろん、NASAなどの宇宙研究所のサイトもオススメでございます。広報には力が入っていて超絶な写真がじゃんすがでございます。特に見栄えするのは、ハッブル宇宙望遠鏡のサイトヨーロッパ南天天文台のサイト。それから天文学今日の一枚(NASA)といったところですねー。ときどき見るんですが、まあ、迫力の宇宙画像にビックリでございます。また、虚構新聞が「予言」してしまった(ちょっとちがうけど)グーグルスカイもございますな。そして、これらはたいてい、最先端の天文台で撮影されたものなのですね。

ところで、こういうサイトは、今現在の宇宙をみせてはくれませんね。広報サイトですから、いったん整理して、いっちゃんいいものを公開するってわけなので、みんな価値ある写真なのです。でも、ライブ感には欠けます。いま話題になっているものを見るってわけにはいかないのでございます。

たとえば、1月は天文ファンの間で「ラブジョイ彗星」が話題になりました。オーストラリアのアマチュア天文学者テリー・ラブジョイさんが発見したこの彗星は最大で4等級…まあ、田舎にいけば、肉眼でも見え、都会でも双眼鏡を使えば確認できましたし、ちょっとした一眼レフカメラでも撮影ができるほどでした。

NASAのAstronomy Picture of the Day(天文学今日の一枚)。2015年1月22日に公開されたもの。1月20日(米国時間)に米フロリダ州ケープ・カナベラル空軍ステーションから打ち上げられたアトラスVロケットと、ラブジョイ彗星(写真上部で輝線を左から右にひいている緑の星)。タイトルもその名も「Launch to Lovejoy」となっている。 (C) NASA/Lynn Hilborn

でも、そうはいっても、双眼鏡もカメラもないし、あってもどうすりゃいいのかわからんし、この寒いなか、外にでられんとか、天気とかなにより時間がないとかいろいろあるのが、まあ、フツーですよね。多数派でございます。ワタクシもそうでございまして、先日たまたま出先で、天体観察会のリハーサルをしていて、はじめてラブジョイ彗星を見せてもらった次第でございます。家に双眼鏡もカメラもあるのですがー。

さて、そんなみなさんにオススメなのが、インターネットで公開されている「宇宙の窓」でございます。スカイモニターといい、各地の天文台がリアルタイムの星空をインターネットに公開しています。世界中なので、日本が昼でも、どこかは夜です。アメリカやヨーロッパなどの天文台を活用すれば、昼休みにちょっと天体観察もできるというものです。

ま、論より証拠、いくつかの「宇宙の窓」スカイモニターをチェックしてみましょう。

まずは、日本のスカイモニター

時には流れ星が見えちゃったりもしますさらに公開されているものを加工して動画も

そのほか、広島大学のスカイモニターの右下に、各地のリンク集があるのでご参照いただければと思います。

次に、海外のもの。日本が昼でも向こうは夜なのでございますな。

このほか プットマン天文台(米国)のように、アマチュアが立派な施設をつかっているのもあります

なんでこんなことをやるか? というと、天体観測の記録で観測している時の空全体を記録したいとか、メンテナンス対策(天候急変を察知)、観測するときは、部屋の中ですので周囲を見渡して計画をたてるため、とかなんですね。インターネットの公開は余録ですが、広報ツールにも使えているのでよいって感じです。

教育用に「iCAN」というプロジェクトがあり、世界各地においた星座カメラ(全天ではない)をリモートコントロールできます。アフリカのガーナなどにもあるんですが。メンテナンスとかどうしているんでしょうねー。

他には、中継そのものを業務でやられているのが、オーロラの中継ですね。これにも星が映ります。登録制ですが、無料で一部のコンテンツは楽しめます。

さらに、ムーングローという会社が、ビデオ(解像度低い)でのスカイモニターを販売していて、全世界の顧客のカメラを地図上にリストしています。解像度が低くて、星を見るにはしんどいですが、それなりに楽しめます。

というわけで、いろいろなのがあるのでございますが、もう1つ、またカテゴリーが違うカメラをご紹介しましょう。それは、太陽観測の専用のものです。絶対に曇りがなく、夜も昼もない宇宙空間のSOHO人工衛星が決定版です。X線など人間の目にはとらえられないもので見た映像などもみられます。そして、太陽と一緒に星も見えるのです! 星が見えないのは、空気が太陽の光をチラしているからなので、空気がないからあたりまえ。なんですが、なかなか衝撃的な絵でございます。

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。