この半導体ニュースのまとめ

・InfineonがAIデータセンター向け電力管理技術を手掛ける印C2iを買収
・C2iのデジタル制御技術とSi、SiC、GaNパワー半導体を組み合わせて電力供給を最適化
・垂直給電と基板内蔵型電圧レギュレーターの開発を加速

Infineon Technologies(インフィニオン)は8月24日、インドのバンガロールを拠点とするC2i Semiconductors(C2iセミコンダクターズ)を買収すると発表した。取引は2026年第3四半期中に完了する見込みとしている。

C2iは、AIデータセンター向けのソフトウェア定義型マルチフェーズ コントローラーとスマート パワー ステージを開発している。インフィニオンは今回の買収により、AIサーバーや高性能コンピューティング向け電力供給を、グリッドからプロセッサー コアまでシステムレベルで最適化する技術を強化することを狙うとする。

AIプロセッサーの負荷変動にデジタル制御で対応

AIプロセッサーの高性能化に伴って消費電力と電力密度が増加する一方、推論処理などでは負荷が短時間で大きく変化する。電力供給システムには、変換効率と安定性を維持しながら、急激な負荷変動へ高速かつ高精度に対応する能力が求められている。

ソフトウェア定義型電力ソリューションは、パワー半導体にデジタル制御とソフトウェア アルゴリズムを組み合わせ、電力変換や電圧制御、システム性能をリアルタイムで最適化することを可能とするもの。C2iのマルチフェーズ コントローラーとスマート パワー ステージを取り込むことで、電力損失を抑えながらAIプロセッサーへ必要な電力を供給できるようにする。

インフィニオンは、C2iが持つデジタル電力管理とシステムレベルの電力設計に関する技術を、自社のSi、SiC、GaNを用いた各種パワー半導体やパワーシステムと組み合わせて活用することとなる。

SIVRを含む垂直給電技術を強化

今回の買収では、AIプロセッサーへ基板の裏側などから電力を供給する垂直給電技術も重点分野となる。

従来の基板表面から給電する構成では、プロセッサー周辺の実装面積や配線距離に制約があり、大電流化に伴う電力損失や電圧変動への対応が難しくなる。垂直給電では、電圧レギュレーターをプロセッサーの近くに配置して電力供給経路を短縮することで、電力損失や配線インダクタンスを抑えられる。

インフィニオンは、C2iのデジタル電力技術と自社の垂直給電ソリューションを組み合わせ、将来の基板内蔵型電圧レギュレーター(SIVR)の実現につなげることを目指すとしている。電圧レギュレーターを基板へ内蔵することで、AIプロセッサー周辺の実装密度と電力供給効率を高める考えだ。

インドにデジタル電力技術の開発拠点

インフィニオンは、C2i買収後に同社のエンジニアリングチームとデジタル電力技術を自社のグローバル研究開発体制へと統合し、インドにおけるAIデータセンター向け電力技術の開発体制を強化する。

インフィニオンはすでにインドにて約2800人を雇用しており、今回の買収を通じて同国をデジタル電力技術のイノベーション拠点として拡充するほか、ソフトウェア定義型電力アーキテクチャーの開発とグローバル展開を加速させるともしている。

なおインフィニオンは、パワー半導体にデジタル制御、ソフトウェア、垂直給電を組み合わせることで、AIデータセンター向け電力事業を個別部品の供給からシステム全体の最適化へ広げ、グリッドからプロセッサーコアまでを網羅する電力供給アーキテクチャーを構築し、次世代AIインフラが求める高電力密度と電力効率に対応していくとしている。