このAI関連ニュースのまとめ
・TAIWAN EXPO JAPAN 2026のスマートヘルスケア分野で、台湾企業がAI/ICTを活用した医療・介護支援ソリューションを紹介
・AI画像診断支援、手術向け3D/MR活用、膵臓がん検出、転倒リスク評価など、医療現場の負担軽減につながる技術を展示
・高齢化が進む日本と台湾の共通課題に対し、台湾のAI開発力と日本の現場ニーズを組み合わせた連携拡大を目指す
台湾の経済部国際貿易署が主催し、台湾貿易センター(TAITRA)が実施役として、日本と台湾のビジネスの連携強化および台湾の優れた製品・サプライヤーを日本市場に紹介することを目的とした大型イベント「台湾エキスポ(TAIWAN EXPO) 2026」が2028年7月15日~17日にかけて、東京・新宿三角広場にて開催されている。
同イベントでは、「Innovate for Tomorrow 」をメインスローガンに掲げ、「AIスマート製造」、「エネルギー・循環」、「スマートシティ」、「スマートヘルスケア」、「FOOD・LIFESTYLE」の5つのテーマを中心に日本の市場ニーズや社会課題を踏まえた、台湾が誇る最先端技術や製品の紹介が行われていた。その中でもスマートヘルスケア分野では、日本同様に高齢化社会を迎えている台湾が、AIとICTを活用する形で、日本の医療分野の負担を軽減するソリューションの提案などを行っていた。
AIとテクノロジーで超高齢化社会への対応を図る台湾
台湾の人口は2025年12月末時点で2329万9132人で、そのうち65歳以上は20.06%となったことで、台湾が定義する超高齢化社会(65歳以上が総人口の20%以上)を迎えたとされる。
TAITRAの担当者によれば、台湾で進められている高齢化社会に対する医療現場の人材不足を技術とAIの活用で解決しようという取り組みを、日本にも提案することを目的としてパビリオンを構成したという。主な考え方としては、予防医療と医療現場の負担軽減を優先的にロボットやAIを活用して現場をサポートしようというもの。同様の高齢化社会を迎えている日本にも活用できる部分が多いという見立てだ。
「台湾はAIやソフトウェアの開発速度が速い。そこに日本人らしい気遣いが加わることで、日本らしいソリューションを生み出すことができる。台湾としてそうした取り組みをサポートしていきたい」と担当者は語っており、台湾企業の取り組みを紹介する展示を通して、日本とのコラボレーションを進めていきたいとして、TAITRAとしても日本オフィスの支援や日本の専門家の紹介なども含めたサポート体制の構築を進めて行きたいとしていた。また、今回のイベントを通して、日本のエンドユーザーや企業からの良い反応を引き出していき、日本企業と台湾企業の橋渡しができればともしていた。
AIは医療現場の負担をどのように減らすのか
台湾ではAIを医療現場のさまざまなシーンで活用している。例えばDeepRad.AIは、1度の検査で肺、心臓、脊椎をスクリーニングするオールインワンのAI診断支援システム「DeepLung-CAC」ならびに4D(XYZの3軸+時間軸)認知症リスク早期予防ソリューション「DeepBrain-Cognito」の紹介を行っていた。
DeepLung-CACは、AIの支援により低線量CT画像を素早くプレビューして肺がんリスクや冠動脈石灰化、骨密度異常などの病態を一度に見つけ出すことを可能とする。従来の低線量CTでは、撮影された多量の画像を医師が時間をかけてチェックしていく必要があるが、このシステムを活用することで、短時間で判別することが可能となるほか、過去の画像との比較により、病態の変化を瞬時に比較することなども可能になるという。同社の担当者によれば、これまで25分かかっていた作業が、レポート作成の完了まで含めて5分でできるようになるとする。
もう一方のDeepBrain-Cognitoは、MRIで得た脳画像をベースにAIと脳測定データベースを活用して「脳年齢の測定」「脳の萎縮状態の定量化に基づく将来の変化予測」「脳のどの領域にリスクが存在するのかの可視化」といったことを可能とする。すでに台湾では35以上の医療機関が導入・運用しており、従来ソリューション比で72%の被ばく量低減と検査時間5分を達成した例もあるという。
現在、日本での事業展開に向けた代理店や医療機関などのパートナーを募集しているという。
また、公立の台中栄民総医院はIntelliGen Technologyと共同でブースを出展していたが、さまざまなAI活用を推進していることを両者で紹介していた。例えば、AIで睡眠時無呼吸症候群の高速診断や骨密度異常のスクリーニング支援などを行っていることや、AIを活用した医療画像処理技術により、CTやMRIの画像を部位別に分けた形で5分以内にすべて3D化する技術を活用することで、患者への治療方法の説明や、MRと組み合わせる形での実際の手術の際のナビゲーション、医学生の手術練習への活用などができることも紹介していた。この3D画像を用いたMRツールを用いた手術を実際に執刀した医師も今回、来日しており、そのメリットを聞いたところ、腹腔鏡手術の時間短縮や患部へのアプローチ精度の向上を図ることができることを実体験として語ってくれた。
同じく病院としては輔仁大学附属病院が台湾大学病院(NTUH)の研究チームとPanCAD.aiが開発した膵臓がん検出用全自動AI診断支援システム「PANCREASaver」の紹介を行っていた。
膵臓がんは初期症状が出にくいため、早期発見が難しく、症状が出てときにはステージ3や4に進行していたということも多いことが知られているが、早期発見によって2cm以下の微小病変の段階で転移がなければ、切除することで5年生存率を高めることができる。そのためには、CTやMRIを用いて、得られた膨大な画像から病変を見つけ出す必要があるが、これを人間が目視で行う労力は膨大なものとなる。PANCREASaverはCT画像を自動で解析し、2cm未満の早期膵臓腫瘍や判別が難しい病変の検出を支援し、疑わしい部位を正確に表示するという。その検出精度は2cm未満の腫瘍に対して90%以上とのことであった。
医療機関以外でもテクノロジーを活用したヘルスケアを推進
大学病院を中心としたAI活用のほか、介護施設や自宅で活用できるソリューションなどもパビリオンでは紹介している。
例えば台湾発のヘルステック企業「FongAI」は、高齢者の歩行・バランス・立ち上がり動作をAIで評価し、転倒リスクを可視化する 「FongAI動的骨格転倒リスク評価ソリューション」 の紹介を行っている。
同ソリューションは、iPadなどのデバイスで動作するアプリで、カメラに映った対象の人物の骨格をAIで解析し、身体能力を評価するというもの。2分ほどの「椅子からの立ち上がりを繰り返すテスト」、「両足をそろえた状態、片足を半歩出した状態、足を前後に並べた状態の3つの状態を維持するバランステスト」、「歩行速度テスト」の3つのテストを元に評価が導きだされるが、医療機関や施設・団体の運営側にはデータ可視化のダッシュボードも提供され、個人の状態把握に加え、グループ全体としてのリスク傾向や健康変化の継続的確認などにつなげることができるという。
台湾のデイケアセンターが同ソリューションを活用したところ、6か月で転倒を36%減少させることができたという。
また、台湾では2026年1月より、専用ハードウェアの提供も開始したという。これは、iPadなどの場合、操作前に高さのキャリブレーションを行う必要があり、それが負担になっているという声を受けて、より現場での手間を省くために開発したものだという。データはiPad、専用ハードウェアともに基本的には端末内にて処理されるが、ダッシュボードでの表示などの場合はクラウドが活用される形になるという。なお、同社は現在、日本市場展開を推進しており、日本国内での協力パートナーの募集を行っているとする。
自宅でできるヘルスケアとしては、例えば「YONG TAI GLOBAL」は脳卒中で生じる半身不随などの中風患者向けに手のリハビリ補助具や足の歩行サポート具などの紹介を行っていた。手のリハビリ補助具は大きく3種類。リハビリ初期の指を握る・離す動作の反復訓練向けの「iOpenResting(日本向け名称はギュギュハンド)」、手指の伸展と開きをアシストする「iOpenDynamic/iOpenDynamicMini(日本向け名称はイキイキハンド)」、そして手首と指の伸展をサポートする「iOpenStretch(日本向け名称はノビノビハンド)」となっており、医療機関やリハビリ施設での治療や訓練と並行して自宅でも練習することで、回復までの期間を短くすることができるとする。いずれも重量は250gほどと軽量で、右手、左手、手の大きさに応じた複数のサイズも用意されているという。
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あまり全面に押し出されていなかったが、足の歩行サポート具「Gait Well Foot Drop Ankle Foot Orthosis(AFO)」も展示されていた。装着したままスニーカーなどの一般的な靴を履くことが可能ながら、足首の垂れ下がりを防ぎ、脳卒中によって生じた足首の内反(内反尖足)を矯正することができる。また、歩行を支援するばねの力は複数選ぶことができるため、こちらもリハビリの段階に応じる形で患者自らが手軽に変更することができる仕様となっている
すでに国内では岩手県の「P.O.イノベーション」が日本国内における正規代理店・パートナーとして活動しており、盛岡友愛病院で勉強会を開催するなど、日本での活用に向けた取り組みが進んでいるとしていた。
このほか、Global Actionは「aSoleシリーズ」というインソールの紹介を行っていた。人間の足が地についている状態は、必ずしもニュートラルではなく、足の裏の土踏まず(アーチ)が高く、体重が足の裏の一部に集中しやすいハイアーチや、アーチが低く地面に接する面積が多く、歩行時の衝撃をうまく吸収できないローアーチといった状態になっている人も多い。特に日本人はローアーチが多いという。
aSoleは、そうした状態から、より理想的なニュートラルな状態に持って行くことを可能とするインソールで、基本形としてはヒールクッションに衝撃を吸収する高機能ウレタンフォーム、かかとから土踏まずに歩行や運動時に足へ返ってくる力に併せて(地面反力に合わせて)アーチの高さを自然に調整する「3DBS(3次元バイオメカニクスシステム)」を活用した硬質素材のダイナミックアーチシステム、そして中足骨部分には高反発材料を貼り付けることで、自然と理想的な歩行状態へと修正することを可能とするという。
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インソール「aSoleシリーズ」。かかとの赤い部分が衝撃を吸収する高機能ウレタンフォーム、その周辺から土踏まずにかけての黄土色部分が3DBSを活用したダイナミックアーチシステム、中足骨の緑色の部分が高反発材料となっている
ウォーキングやランニングなどのほか、踏ん張り力を強めて安定性を重視したゴルフ・スキー向け、バランスを重視した自転車競技向け、反発力を抑えてジャンプや着地時の負担を軽減したバスケットボールやバレーボールなどの球技向け、ターンやダッシュ時の負担を軽減したサッカーや野球、陸上競技など向けといった各種のスポーツをニーズにマッチしたシリーズのほか建設現場や製造業の現場などで求められる帯電防止性能などを兼ね備えたモデル、半導体工場や製薬工場、ESD環境などで求められる帯電防止性能やクリーンニーズに合致したモデルなども用意しているという。子供向け(発達期にある0~6歳の間は非推奨)も用意しているという。日本
Inno-Health Technologyは「Aculife」ブランドとして展開するヘルスケア機器の1つで、独自開発した特殊電子針で手の反射区を刺激する世界で100万台以上の販売実績を持つ健康器具「I-DOC」のデモを行っていた。I-DOCは、手の経絡(いわゆるツボ)に対して、微弱電流の刺激を流すことで経絡のつまりを解消し、血行の促進を促す電子鍼治療装置。日本で言うところの低周波治療器で、米国のFDAや台湾のクラスII医療機器、中国のNMPA、韓國MFDSといった複数の国の認証を取得済みだという。
低周波治療器の場合、パッドを患部に当てて電流を流すが、I-DOCは先が丸まった棒状のプローブを付属のツボマップを元に、患部に当てて電流を流す仕組み。5分/10分/15分のタイマー機能や刺激の強度設定も利用可能なほか、耳のツボを刺激するためのイヤークリップなどもオプションで用意されている。
なお、TAIWAN EXPO 2026の会期は7月17日まで。開催時間は10時~17時となっており、場所は東京都新宿区の都庁前にある新宿住友ビル 三角広場。入場は無料だが、公式サイトからの事前申し込みが必要である点に注意が必要である。








