NTTドコモドコモMAXは8月6日、2026年度第1四半期(4~6月)の連結決算を発表した。営業収益は前年同期比8.5%増の1兆6170億円、営業利益は同2.7%増の2462億円となり、増収増益となった。説明会では、モバイル通信サービス収入について「底打ちが見えてきた」との認識を示すとともに、金融やAIを成長領域として引き続き強化する方針を示した。

  • NTTドコモ 2026年度 第1四半期決算 概況

    NTTドコモ 2026年度 第1四半期決算 概況

2026年度第1四半期は増収増益、「変革」の成果が見え始める

営業収益は前年同期比8.5%増の1兆6170億円、営業利益は同2.7%増の2462億円となり、対前年で増収増益となった。

今回の決算のポイントとして、スマートライフ事業の全領域での成長、モバイル通信サービス収入の改善継続、LTV(顧客生涯価値)を重視した顧客戦略の進展、AIを軸とした成長領域の拡大が挙げられる。

代表取締役社長の前田義晃氏は、「2026年度のよいスタートが切れたと思っている。今回の業績には変革の成果が表れている。引き続き、中期経営計画の達成に取り組む」と述べた。

  • NTTドコモ 代表取締役社長兼CEO 前田義晃氏

    NTTドコモ 代表取締役社長兼CEO 前田義晃氏

業績面では、金融を中心としたスマートライフ事業が大きく伸長したほか、法人事業も増収となった。一方で、モバイル通信サービス収入は引き続き減収だったものの、減少幅は前年同期の141億円から14億円へと大きく縮小し、改善モメンタムが続いている。

モバイル通信サービス収入は改善継続、「底打ち」が見えてきた

前田氏は、モバイル通信サービス収入について「改善モメンタムが継続しており、底打ちが見えてきた」と説明した。その背景には、LTV(顧客生涯価値)を重視した顧客戦略がある。

この顧客戦略も成果を上げている。MNP(携帯電話番号ポータビリティ)の純増は3四半期連続となったほか、ロイヤルユーザーも順調に拡大した。同氏は「2026年は顧客のエンゲージメント向上に取り組む」と述べた。

「ドコモ MAX」は第1四半期の時点で400万契約を突破しており、年度内の500万契約以上目標を80%達成したことになる。同プランの契約数が増えたことで、ARPU(Average Revenue Per User)も前年比70円と大幅に増加した。

金融シナジーを本格化、ドコモショップも活用

通信事業で築いた顧客基盤を金融へ広げる取り組みも本格化している。同社はカード、銀行、証券の連携を強化するとともに、ドコモショップを金融サービスの拠点として活用し、顧客接点の拡大を進める。

前田氏は「決済はわれわれの大きな強み。今後は通信で築いた顧客基盤を広げる」と述べ、カード、銀行、証券のシナジー強化を進める考えを示した。決済取扱高は第1四半期だけで5兆円に達し、金融事業の拡大を支えている。

金融顧客基盤の拡大に向け、ドコモショップも活用する。現在約2000店舗あるドコモショップのうち、年度内に銀行口座を開設できる店舗を1000店舗まで拡大する計画で、その半数では証券サービスのサポートも行う予定だ。前田氏は「1000店舗はメガバンクの有人店舗を上回る規模になる」と述べ、リアル店舗網を金融サービスの強みとして生かす考えを示した。

AI・セキュリティで法人事業を強化

AI-Centric ICT Platformは法人事業の成長を支えている。AIエージェント導入支援やセキュリティ機能を提供しており、導入企業数は前年同期比で約5倍に拡大した。

同社はAI-Centric ICT Platformの機能拡充も進めている。新たにAI SOCやAIリスクアセスメントなどのサービスを投入し、企業がAIを安全に活用できる環境を整備する。

  • AI-Centric ICT PlatformではAIエージェント導入支援やAI SOCなどを提供し、導入企業数は前年同期比約5倍に拡大した

    AI-Centric ICT PlatformではAIエージェント導入支援やAI SOCなどを提供し、導入企業数は前年同期比約5倍に拡大した

前田氏は、「AI領域が法人事業を牽引している。AI-Centric ICT Platformを強化する」と述べた。

通信品質向上へ基地局整備やHAPSの実証を推進

通信品質の向上に向けたネットワーク投資も継続している。同社は5G基地局の整備を進めるとともに、最新の無線設備の導入や非地上系ネットワーク(NTN)の実証を通じて、通信エリアの拡大と災害時の通信確保を図る。

地下鉄駅で5G基地局の整備を進めており、全国303駅、都内206駅で導入を完了した。また、280MHz幅Tri-Band Massive MIMOの運用を開始し、3つの周波数帯を束ねて利用することで設備容量を約3倍に高めた。

非地上系ネットワークでは、これまで進めてきた固定翼型HAPSに加え、新たに気球型HAPSの実証にも取り組む。前田氏は、災害時だけでなく自治体や産業向けソリューションとしての活用も視野に入れていると説明した。能登半島で実証を進めており、2026年度中のサービス化を見据えて検証を進める。