この半導体ニュースのまとめ
・Samsungが龍仁国家産業団地で計画するメモリファブの最初の2棟の稼働時期を2031年から2029年へ前倒し
・韓国政府は土地補償、電力、用水、人材・定住環境整備を含め、龍仁半導体クラスタの早期整備を支援
・米商務長官はSamsungとSK hynixに米国内でのメモリ前工程生産を再要請
Samsungが龍仁で計画しているメモリファブの稼働時期を2029年に前倒し
Samsung Electronics(サムスン)は、7月6日に韓国の大統領府で開催された「メガプロジェクト官民合同点検会議」にて、ソウル近郊の龍仁(ヨンイン)国家産業団地に建設予定の6棟の半導体ファブのうち、最初のファブの稼働時期を当初計画の2031年から2029年に前倒しすることを明らかにしたと複数の海外メディアが報じている。
世界で人工知能(AI)向けメモリ生産拠点の確保競争が激化する中、韓国内の半導体生産能力を早急に拡充する必要があるとの認識で官民が一致。姜勳植(カン・フンシク)大統領秘書室長は「龍仁半導体クラスタで計画されている10棟の半導体ファブ(Samsungが6棟、SK hynixが4棟)への投資が、予定よりも前倒しで進められるよう、土地の補償から電力、用水の供給まで、全般的な日程を最大限前倒しすることにした」と語ったという。
また、企業側から優秀な人材確保に向けた提案や住居、交通、教育などの定住状況の改善についての提案もあり、関係長官がそれらを継続的に検討していくことが決まったほか、メガプロジェクトの迅速な推進に向けた体制構築の議論も行われたという。韓国大統領府では、こうした民官合同点検会議を毎月開催する予定としており、半導体クラスタ以外のプロジェクトを含めて進捗をチェックしていくとしている。
韓国半導体サプライチェーン関係者によれば、通常、先端ファブの建設から設備の搬入、歩留まり確保に向けた試験まで少なくとも2年以上かかることを考慮すれば、遅くとも2027年上半期には敷地の整備に着手する必要があるという。そのためには韓国土地住宅公社による迅速な土地の収用と補償の手続きを終える必要があるほか、大規模送電網や大量の工業用水確保に向けたインフラ整備も並行して進める必要があるなど、全面的な行政支援が必須となる。
なお、龍仁での半導体クラスタ計画は、すでに発表済みの韓国中西部(光州周辺)での80兆円規模のDRAM投資(SamsungとSK hynix)や清州での8兆円規模のNAND投資(SK hynix)よりも以前から計画されていた巨大プロジェクトであり、韓国政府としても大統領が先頭に立つ形で半導体製造拠点の全国展開、つまり地方の活性化政策を推進する姿勢を強調している。
米国商務長官がSamsungとSK hynixに米国内でのメモリ生産を再要請
こうした韓国での動きと並行する形で、米国商務省のラトニック長官が、7月9日に米ニューヨーク州シラキュースで開催されたMicron Technologyの新製造拠点の基礎工事の起工式典に来賓として参加した際に、「MicronのCEOは競合他社による米国での事業拡大を歓迎しないだろうが、私はSamsungとSK hynixにも米国でメモリ生産をしてもらい、米国の半導体サプライチェーンをより強固なものにする必要がある」と発言したことが明らかになった。同氏は以前にも同様の発言をしたことがあるが、その際は両社は応じる姿勢を見せなかった。今回の発言に対しても、Samsung、SK hynixともに公式コメントは出していない。
現在、Samsungはテキサス州テイラーにて先端ロジックファウンドリ工場を建設中であり、SK hynixもインディアナ州にHBM向け先端パッケージング工場を建設中であるが、商務長官はこれらの投資に加えてメモリ前工程工場も米国内に誘致したがっているようである。