テスラが30億ドルを投じてテキサスに研究開発用ファブを建設へ
電気自動車(EV)メーカーのテスラは4月22日(米国時間)、2026年第1四半期の決算を発表。同日開催された株主向け説明会にて、テキサス州の自社工場「ギガファクトリー・テキサス(ギガ・テキサス)」のキャンパスに半導体の研究開発を推進することを目的としたファブ(工場)を建設することを決定したことを明らかにした。
同ファブは2026年中に建設を開始する予定で、初期投資額は30億ドルほどとしており、これにより月産で数千枚規模の半導体製造を計画する。先行して発表しているTerafabの実現に向けた取り組みの一環で、ロジック、メモリ、マスク、パッケージングのすべてに取り組み、その製造ノウハウなどを理解し、Terafabの実現につなげたい構えだ。
また、半導体製造に対する新たなアイデアや、当たらな物理学を活用したテストの実施など、かなり斬新なアイデアの実験場でもあるとしており、そうした取り組みも含め、生産プロセスそのものが実用的なものであるかどうかを確認するためにも月産数千枚規模の生産ラインを構築する必要があるとしている。
加えて、この研究開発で得た知見を踏まえ、スペースXがTerafabの初期段階を担当するという。
Intel 14Aプロセスの活用を検討
テスラCEOであるイーロン・マスク氏は、先般、パートナーシップを発表したIntel(インテル)との関係性について、自社ファブではインテルの次世代プロセスである「Intel 14A」を活用する予定であると説明。Intel 14Aは2026年4月時点では、まだ量産に達していない研究開発段階のプロセスだが、Terafabが規模を拡大するころには、かなりプロセス技術として成熟しているか、少なくとも実用段階に入っているとの見方を示し、正しい選択をしたと語る。
自社使用分の半導体確保を目指すTerafab構想
なお、マスク氏が強調していたのはTerafab構想はあくまで、既存の生産パートナーであるファウンドリに対する交渉材料ではなく、テスラやスペースX、xAIなどが必要とする半導体がファウンドリに委託、もしくはメモリサプライヤからの調達では賄えないためである点。実際、テスラでは自社のAI半導体「AI4」の派生型「AI4plus」や次世代の「AI5」などの生産をSamsung Electronicsに生産委託するとしており、4月にAI5のテープアウトが完了したこと、AI4plusの生産を2027年半ばより開始する予定であることを述べており、そうしたファウンドリとのパートナーシップは維持していく姿勢を見せている。
一方のメモリに関してはDRAMについては3大サプライヤ(Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technology)が市場の90%程度を握っている市場で、ハイパースケーラーを中心としたAI半導体の調達競争の激化で価格の高騰が続いている。NANDについても、大手プレイヤーはSamsung、キオクシア、SK hynix、Micron、Sandiskの5社で、ここに中国勢のYMTCを入れた6社で市場のほとんどが握られており、こちらもエンタープライズSSD向けを中心として調達が激化している。市場調査会社などの予測では、少なくとも数年はこうしたメモリの供給量に対して需要が上回る状況が続くとの見通しが多く、そうした中でも他社を上回る成長を達成するために、より多くのロジックとメモリを確保したいという思惑を持ったイーロン・マスク氏がTerafab構想を打ち出すことは、研究開発ファブでやろうとしていることについてある種の賭け的な表現を自身でも用いていたが理解できなくはない。