この半導体ニュースのまとめ
・SK Siltronの売却交渉が保留に
・背景にはNVIDIAからのSK hynixに対するHBM需要の増加があるとみられる
・SKグループとしてNVIDIAとの協力強化に基づくHBMサプライチェーンの統合強化を模索
韓国旧財閥のSKグループは、グループ創業者一族である崔泰源(チェ・テウォン)会長の指示の下、ハイテク中心への事業再編の一環として、シリコンウェハメーカーであるSK Siltron(旧LG Siltron、2017年にLGグループより買収)を非中核事業とみなして、2025年12月に韓国の斗山グループを優先交渉対象者に選定し、交渉を進めてきていた。
売却交渉を重ねた結果、最終的に2026年5月末に売却調印を結ぶことが決まっていたが、6月に入っても崔会長が調印書類にサインしていない模様である。SKグループは、SK Siltronの売却を電撃的に保留とし、シリコンウェハ生産をAIバリューチェーンにおける中核事業として再検討することにした模様であると韓国の複数のメディアが伝えている。
NVIDIAとの連携強化でシリコンウェハ製造が中核事業に格上げへ
SKグループの戦略転換は、SK hynixの崔泰源会長と郭魯正(クァク・ノジョン)社長が、台湾で開催された「GTC Taipei 2026」の会場で、NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)による基調講演を直接視察し、その後に懇談した動きと符合すると韓国メディアは伝えている。ファンCEOは、SK hynixにHBMの生産量を倍増するように要請したとも伝えられている。こうしたシリコンウェハ調達量の大幅に増加させるためには、シリコンウェハ製造子会社の存在が重要であるという判断がある模様である。
SKグループの崔会長とNVIDIAのフアンCEOは、2026年2月に米国シリコンバレーで食事を共にし、懇談したのに続き、3月にも米国サンノゼで開催されたGTC 2026でも会談を実施し、AIインフラの協力策を協議していたという。ファンCEOは6月4日にも渡韓し、早ければ6月5日にも韓国ソウルでふたたび両者の会談が行われる予定だという。
崔会長が、NVIDIAとの協力を強化し、SKグループとNIDIAおよびその顧客を巻き込んだ上流から下流に至るHBMサプライチェーン統合に乗り出したことも、今回のSK Siltron売却の事実上の中止決定を後押ししたと考えられる。
SK hynixの爆発的な業績成長を背景に、半導体製造に不可欠な中核素材であるウェハを生産するSK Siltronを外部に売却することは、SKグループが進めるAI戦略と真っ向から矛盾するとのグループ内部の意見が勢いを増したと伝えられている。SK hynixの2026年第1四半期の営業利益は37兆6103億ウォン(約3.9兆円)となっており、市場からは2026年通期で200兆ウォン(約21兆円)台に到達し、2027年には400兆ウォン(約42兆円)に到達するとの見通しも出てきている。このような状況であり、SK Siltronを売却することは、グループの未来の成長エンジンを自ら放棄するに等しいと内外から指摘の声が上がっている模様で、SKグループは近く取締役会を開き、公式に議論する予定だという。
なお、SKグループの広報は「SK Siltronの売却取引を進めるかどうかはまだ確定していない」と言葉を濁しているが、韓国の半導体業界や市場関係者の間では、SKグループがSK Siltronを内部に留保し、SK hynixとのシナジーを最大化する方向で決着させる可能性が高いとみる向きが多いようである。
