欧州の半導体主権強化と自動車産業の高度化を支援
ベルギーの半導体研究機関imecは10月16日、独バーデン=ヴュルテンベルク州ハイルブロンに新たな研究拠点を開設したと発表した。
同日開催された開所式には、バーデン=ヴュルテンベルク州のWinfried Kretschmann州首相および経済・労働・観光大臣のNicole Hoffmeister-Kraut博士が出席。imec CEOのLuc Van den hove氏とともに、地域の半導体エコシステム強化への期待が語られた。
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開所式の様子。左からimecのCSOであるJo De Boeck氏、同州 経済・労働・観光大臣のNicole Hoffmeister-Kraut博士、同州首相のWinfried Kretschmann氏、imecのCEOであるLuc Van den hove氏、imecの自動車部門バイスプレジデントのBart Plackle氏(出所:imec)
この新拠点は、自動車向けチップレットアーキテクチャの研究開発を目的としたもので、AI研究都市である「イノベーション・パーク・アーティフィシャル・インテリジェンス(Innovation Park Artificial Intelligence:IPAI)」内にに設置され、imecが主導して進めている自動車向けチップレット研究プログラム「Automotive Chiplet Program(ACP)」の中核拠点としての役割が与えられる。
欧州の自動車産業を支えるチップレット技術の拠点に
新拠点では、最先端のチップレット設計と高度なパッケージング、システム統合、センシング、エッジAIの応用といったソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)向けHPC基盤の開発が進められるほか、欧州(EU)が進める自動車向け高性能コンピューティング(HPC)の異機種統合に特化した新しいCHIPS JUプロジェクト「CHASSIS」の主要パートナーとしての役割も担うとしており、SDV向けにモジュール方式でスケーラブルな車載コンピューティングプラットフォームの開発を進めているともする。
また、先進的なチップ設計の専門知識を地域的に拡大し、先進的なチップレットアーキテクチャの専門知識の相乗効果を最大化するというバーデン=ヴュルテンベルク州の取り組みの強化に向けて、imecはミュンヘン工科大学との間で先進的なチップ設計と先端パッケージングに関する知識の共有などを推進する覚書(MoU)も締結。人材育成のほか、共同研究や実践的なトレーニングの展開などが行われる予定ともしている。
なお、imecによると、この新拠点は2025年3月に開設されて以降、すでに複数の研究者が採用済みとなっているほか、現在も採用活動が続けられており、2030年までに70名規模の専門チームへと拡大することが予定されており、今後は自動車バリューチェーン全体の数十社から100名を超える代表者を集め、チップレットのイノベーションにおける非競争領域での協力関係の構築を推進していくとしている。