この半導体ニュースのまとめ

・住友ベークライトが先端半導体パッケージ向け液状封止材を開発
・低反り性と加工性を両立し、大型・高機能化ニーズに対応
・モールドアンダーフィル対応で工程削減と生産性向上を狙う

住友ベークライトは5月18日、AI半導体向け先端パッケージングに対応する液状封止材「EME-Lシリーズ」を開発し、供試を開始したと発表した。大型化と高機能化が進むパッケージに対し、低反り性と加工性を両立する材料として展開する。

  • 「EME-Lシリーズ」

    AI半導体向け先端パッケージングに対応する液状封止材「EME-Lシリーズ」 (出所:住友ベークライト)

AI普及で進むパッケージの大型化と高機能化

生成AIの急速な普及に伴い、半導体パッケージにも高性能化が求められるようになっており、チップレット構造や2.xDおよび3D実装といった技術の活用が進み、パッケージ自体の大型化と複雑化が進展している。

こうした変化は封止材料にも影響を及ぼしており、従来以上に反りの抑制や加工性の向上が重要な設計要件となっている。

低反りと加工性を両立した液状封止材

今回開発されたEME-Lシリーズは、同社が固形封止材で培ってきた配合技術や処方技術に加え、電子材料向け液状製品におけるプロセス技術を組み合わせることで、低反り性能と必要な加工性能の両立を実現したもの。

この低反り特性により、封止後のプロセスでのハンドリングが容易となり、特に大面積パッケージにおける製造安定性が向上すると見込まれるという。

工程統合で生産効率を向上

また、同シリーズはモールドアンダーフィルに対応しており、アンダーモールドとオーバーモールド(全体封止)の工程を一体化することができる。これにより従来は別工程であった封止プロセスを統合することが可能となり、製造工程の削減と生産効率の向上につながるとする。

こうした工程の統合は、特に大型パッケージにおいて課題となるコストとスループットの改善に寄与するポイントとなるという。

  • 工程の比較

    一般的な液状封止材の工程と同シリーズの工程の比較 (出所:住友ベークライト)

固形封止材から液状へ、適用範囲を拡張

同社は固形封止材で高いシェアを持つが、今回の液状封止材の市場投入により、適用範囲をさらに広げる狙いだ。パッケージ構造の高度化に伴い、封止材料も形態やプロセス適合性の観点で多様化が進んでおり、液状材料の重要性が高まりつつある。

すでに同シリーズは2026年4月より供試を開始しており、2027年の採用認定を目指すとしている。

封止材がパッケージ性能を左右する時代へ

半導体の性能向上は、ロジックやメモリといったデバイスのプロセスの微細化がけん引していた時代から、プロセスの微細化の物理限界を前に、パッケージ全体の構造や材料へと依存する割合が高まっている。特にAI半導体では、パッケージの大型化と複雑化に伴い、材料の特性が歩留まりや信頼性に直結するようになっている。

今回の液状封止材は、低反りと工程効率の両面からそうしたパッケージの進化に対する課題に対応するものであり、材料側から製造プロセスの最適化を図る取り組みといえる。AI用途の拡大に伴い、封止材は単なる保護材料ではなく、パッケージ性能を規定する機能材料としての位置付けが強まっているといえるだろう。