大手半導体製造装置メーカーであるApplied Materials(AMAT)が2025年度第3四半期(5~7月)の決算を発表した。 それによると売上高は、前年同期比8%増の73億200万ドル、純利益が同4%増の17億7900万ドルとなったという。
同社のゲイリー・ディカーソン社長兼CEOは、「第3四半期として過去最高の業績を達成した」とする一方、現在、ダイナミックなマクロ経済環境と政策環境下で事業を展開しており、短期的な不確実性の増加と先行き不透明感が高まっていることに触れ、特に中国事業は依然として厳しい状況にあるとする。ただし、半導体業界および自社の長期的な成長機会については、依然として続くものとの見方を示している。
こうした状況のため、同社は第4四半期について売上高の3割を占める最大市場である中国向けが「許可は1つも出ないと想定している」(同)と語るなど、規制緩和に悲観的な見方を示しており、販売活動が停滞する結果、ガイダンスの値としても売上高を同5%減の67億(±5億ドル)とする見通しを示している。
第3四半期の売上高を用途別で見ると、ファウンドリ・ロジック向けが69%(前年同四半期は72%)、DRAM向けが22%(同24%)、フラッシュメモリ向け9%(同4%)とするほか、国・地域別で見ると、中国が35%(同32%)、台湾25%(同17%)、韓国16%(同16%)、日本10%(同8%)、米州9%(同16%)、欧州2%(同5%)としている。
中国の装置メーカーが台頭
中国市場では、北方華創科技集団(NAURA)や中微半導体設備(AMEC)をはじめとする中国資本の半導体製造装置メーカーが台頭してきていることがAMATをはじめとする中国外の半導体製造装置メーカーにとっての脅威となり始めている。
北京屹唐半導体科技(Beijing E-Town Semiconductor Technology)は8月13日、AMATが技術を不正に取得し利用しているなどとして、北京知識産権法院に提訴したことを発表した。中国企業の主張では、同社が買収した米Mattson Technologyから技術に詳しい従業員2人をAMATが引き抜き、プラズマ発生装置やウェハの表面加工のコア技術を不正に取得し、さらに中国でその特許を申請したとしている。
AppleやTIとの連携を強化して製造装置の供給を強化
一方でAMATは、Appleが推進する米国内での製造プログラムにTexas Instruments(TI)と提携する形で半導体製造装置を供給する。テキサス州オースチンには同社最大の半導体製造・物流施設があり、ここからTIの各工場に製造装置を納入するという。
最先端の自動ロボット保管システムを備えた同拠点は、AMATのグローバル製造ネットワークの要であり、将来の市場の成長と進化する顧客ニーズをサポートできる体制が整っているという。
さらに同社は、アリゾナ州に2億ドルを投資し、半導体製造装置の重要部品を製造するための最先端施設を建設することも予定で、同社によると過去5年間にわたって機器製造インフラストラクチャに4億ドルを投資してきたという。
こうしたAMATの米国での取り組みは、減速気味の中国市場での売り上げを、トランプ政権の米国での製造強化政策に乗ることで、米国での売り上げを伸ばすことで相殺しようとするものと考えられる。

