米国は、日本やオランダにも協力を要請する形で半導体技術の中国に対する輸出規制を強めているが、韓国は中国市場への依存度が高いこともあり、そうした米国の要求に慎重な対応を行ってきた。しかし、韓国の日刊紙Korea Heraldによると、米国が韓国に対して中国への輸出規制を遵守するよう圧力を強めているという。
それによると、9月10日に米国ワシントンD.C.にて開催された「2024年韓米経済安全保障会議」において、米商務省のアラン・エステベス次官が、韓国の2大メモリメーカーであるSamsung ElectronicsとSK hynixに対し、米国の対中輸出規制に同調するよう求めたという。エステベス次官は、両社の先端半導体の生産能力について同盟国への供給に努めるよう求めた模様である。
同氏は、韓国と米国の長年にわたる協力関係に感謝の意を強調した一方で、AIは軍事目的にも利用できることを踏まえ、中国がAIモデルのトレーニングに向けて先端技術の塊であるHBMの入手を阻止することが重要だと指摘したとしている。HBMは、SK hynixとSamsungの2社で世界市場の約90%のシェアを有している状況(残りはMicron Technology)にある。
米国が今後、SamsungおよびSK hynixのHBM販売に対して新たな輸出規制を課す可能性について、韓国のチョン・インギョ通商交渉本部長は、韓国政府がこの件について米国と協議する予定であると述べたほか、同会議後、記者団に対し「HBMを製造している3社のうち2社が韓国企業であるため、輸出規制は韓国に大きな影響を及ぼす可能性がある。ただし、米国がまだ公式発表していないのでコメントはできない」と語ったという。
なお、中国は先端半導体に対する米国の新たな輸出規制の実施を見越す形で、韓国勢が手掛けるHBMの備蓄を進めているという。