Ristは、AI開発に必要なデータ収集における準備工程の負担を減らすAIカメラ「AIMERA(アイメラ)」の提供を9月24日から開始することを発表した。
AI技術の発展に伴い、AIの導入によって省人化や業務効率化を画策する企業は急増している。しかし実際のAI導入にあたっては、その準備段階でさまざまな課題が存在するといい、そのひとつには“AIの学習データ”に関する課題が挙げられている。
AIモデルを開発するには、AIが学習するためのデータが不可欠であるため、一般的なAI導入の初期段階ではデータ収集という工程が発生する。ただし、AIモデルの精度を高めるためには質の高いデータを繰り返し学習させる必要があることから、求める条件に合わせて正確なデータを収集することが求められる。しかしそうした高品質データの収集には一定の知見や技術が必要とされ、その負荷の大きさに悩まされるケースが少なくないという。
具体的な例としては、製品の不良や欠陥の検出を目的に行う外観検査AIの開発が挙げられる。この場合、AIモデルには良品・不良品の画像データをそれぞれ学習させるため、それらを取得できる撮像環境が必要となる。しかしその作業では、レンズの種類や照明の角度など、撮影方法に関わるさまざまな条件が関与するといい、それらについてはAIベンダーではなく撮像機器メーカーへの相談が必要になるとのこと。結果的に外注先が複数にわたり、機材などの選定に長時間を要するなどの課題が山積し、思うようにAI開発を進められないという現状があるとしている。
そこでAIベンダーであるRistは、AI導入におけるハードルとなっている負荷を軽減するため、良質なデータの収集にかかる工数削減を実現するAIカメラのAIMERAを開発したとする。
同製品は、AI開発の条件に合う良質な画像を撮像できるようにレンズ・照明・センサをカスタマイズしたAIカメラとしてRistが納品を行うとのこと。従来はカメラや周辺機器などをそれぞれ専門メーカーに依頼し、条件確認などの調整や機材手配などで3~4ヶ月を要することもあったのに対し、AIMERAではカスタマイズされた状態で納品されるうえ、特別な知識が無くても簡単に設置が行えるため、AI導入の依頼から最短3日でデータ収集を開始できるとした。
また同社によると、AIMERAにはGPUチップを搭載したNVIDIA Jetson Orin Nanoが内蔵されているため、データ取得用のカメラに留まらず、AIモデルをインストールすればAIを搭載した検査機としても運用が可能とのこと。加えてAIMERAで取得したデータを共有することで、顧客の要望に応じたAIモデル開発にも対応するという。
RistはAIMERAの今後について、データ収集の負荷軽減という強みに加え、AI検査機としての運用シーンの幅も広げていく予定だといい、モノの計数に特化したAIソフトウェア「Deep Counter」や外観検査AI開発の効率化ツール「Deep Inspection PRODUCT」などの同社が提供するプロダクトとも連携していく予定だとする。また、現時点で標準であるオリジナルリング照明に追加する形で新たな照明の開発も進めており、撮像機器としてのアップデートも進めているとしている。