onsemiは7月2日(米国時間)、インテリジェントセンシング・グループの強化に向け、CQD(コロイド量子ドット)ベースの短波赤外(SWIR)技術を有するSWIR Vision Systemsの買収を完了したことを発表した。
SWIRを用いたセンサは、高密度の材料・ガス・布地・プラスチックなどを透過することができることから、多くの産業分野において、監視システムや検査装置、マシンビジョンなどさまざまなアプリケーションに不可欠なものとなっている。また自律走行車のイメージングでは、スペクトルが高くなることで、極端な暗闇や濃霧中など困難な条件下における視認性向上に寄与する。しかし従来はインジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)を用いたプロセスに高いコストを要し、製造自体も複雑であったため、SWIR技術の採用は限定的だったという。
SWIR Vision Systemsは、CQDベースのSWIR技術を有している。このCQDは、波長の長い光を吸収するように精密な調整が可能という光学的・電子的特性を持つナノ粒子で、その活用により、センサシステムの可視性および検出能力を標準的なCMOSセンサの範囲を越えてSWIR波長にまで拡張し、物体を透過して画像を撮像することが可能となる。
そして今般onsemiは、インテリジェントイメージセンシングのための堅牢な技術の提供に向けた取り組みの一環として、SWIR Vision Systemsの買収を実行。これによりonsemiは、シリコンベースのCMOSセンサと製造ノウハウをCQD技術と融合させ、高集積SWIRセンサを低コストで大量に供給できるとする。そして結果的に、拡大スペクトルを提供する小型で費用対効果の高いイメージングシステムが実現され、商業・産業・防衛など幅広いアプリケーションにおけるポートフォリオの拡充により、さらなる事業成長への道が開かれるとした。
なお今回の買収により、SWIR Vision Systemsはonsemiの完全子会社となり、技術チームはonsemiのインテリジェントセンシング・グループに統合されるとのこと。統合後も引き続きノースカロライナ州で活動する予定で、同買収が短期・中期の業績見通しに影響を及ぼすことはないとしている。