この半導体ニュースのまとめ
・SEAJは2026年度の日本製半導体製造装置販売高を前年度比26%増の6兆5502億円と予測
・AIサーバ向け先端ロジック投資とDRAM投資の増加で、1月の予測から上方修正
・日本市場も2028年度に2兆2763億円と初の2兆円超えを見込む
2026年度の日本製半導体製造装置販売高は6兆5502億円に上方修正
日本半導体製造装置協会(SEAJ)は7月2日、2026年度から2028年度までの半導体・FPD製造装置需要予測を発表した。
それによると、2026年度の日本製半導体製造装置販売高は、前年度比26%増の6兆5502億円になる見通しだという。2026年1月時点の予測では、2026年度の日本製半導体製造装置販売高について、DRAM分野の投資拡大やAIサーバ向けを中心とした先端ロジック投資の拡大を背景に、同12%増の5兆5004億円と予測していたが、今回(7月)の予測ではそこから約1兆500億円上積みされた形となる。
また、2027年度についても、AIサーバ向け半導体需要が旺盛に推移することに加え、新規Fabの建屋が順次完成し、装置搬入が可能な環境が整ってくるとして、同13%増の7兆4017億円と予測。2028年度についても、高水準の投資が続くとみて、同5%増の7兆7718億円としている。
2026年1月時点の予測では、2027年度の日本製半導体製造装置販売高は5兆6104億円とされていたため、今回の2027年度予測は約1兆7900億円の上方修正となる。2025年7月時点の予測では、2026年度は5兆3498億円、2027年度は5兆5103億円とされており、この1年でAI関連投資を中心に需要見通しが大きく切り上がったことになる。
AIサーバ向けロジックとHBM向けDRAM投資がけん引
今回の上方修正の背景としてSEAJでは、AIサーバ向け先端ロジックの旺盛な投資に加え、HBMを中心としたDRAM投資の大幅な増加を挙げている。
2026年の世界半導体販売高は、WSTS(世界半導体市場統計)の6月発表に基づけば前年比89.9%増の1兆5112億ドルに達する見込み。内訳としては半導体メモリが同249.5%増、ロジックが同37.3%増と高い成長率が予想されている。従来、世界の半導体市場規模が1兆ドルを超えるのは2030年ごろと考えられていたが、到達時期が4年前倒しとなるだけでなく、市場規模そのものも大きく拡大する見通しとなっている。
けん引役となっているメモリ分野は、2025年後半からHBMに加え、AIサーバ向け汎用DRAMの需要も増加しており、供給制約を背景に価格上昇が続いている。HBMについては、世代進化に伴いDRAMダイの積層数が12層から16層へ、将来的には20層へと増えていくことから、当面は逼迫した状況が続く見込みだとSEAJでは説明している。
NANDについても、AIサーバ向けSSDの需要が急速に高まっており、2026年初頭からDRAM同様に価格上昇が進んでいるという。AIサーバ向け半導体需要の拡大は、GPUやHBMにとどまらず、DRAM、NAND、SSD、CPU、先端パッケージングへと波及しており、半導体製造装置投資の広がりにつながっている。
エージェンティックAIとフィジカルAIが追加需要を生む可能性
SEAJは、AIデータセンター用半導体について、現在のLLM(大規模言語モデル)の学習や推論に使われるGPUとHBM中心の構成に加え、人間に代わって計画立案、意思決定、行動を行うエージェンティックAIへの対応が求められていることを指摘している。
エージェンティックAIでは、複数の処理やモデルを連携・統括しながら一連のタスクを遂行する必要があるため、これらの制御を担うCPUと、それを支えるDRAM(DDR)需要が新たに拡大する見通しだという。また、推論機能の高速化のためのKVキャッシュのオフロードや、エージェンティックAIの長期記憶用途としてのSSD需要の拡大も期待されるとしている。
さらに、フィジカルAIでは、ロボット単体の自律化に加え、デジタルツインを用いた仮想空間でのシミュレーション、既存の工場システムと協調動作する統合制御基盤の構築などにより、製造業に大きな変化をもたらす可能性があるとする。
こうしたAIの進化は、半導体の高性能化、低消費電力化、大容量化への要求と直結しており、ロジックではGAAトランジスタ構造の進化や裏面電源供給(BSPDN)の採用、DRAMの微細化、NANDのさらなる高積層化、さらにハイブリッドボンディングやヘテロジニアスインテグレーションなど、前工程・後工程の両面で先端技術投資を押し上げることになる。
日本市場は2028年度に初の2兆円超えへ
日本市場販売高についても、SEAJは強い成長を見込んでいる。
2026年度の半導体製造装置の日本市場販売高は、車載ならびにパワー半導体関連投資が振るわないものの、2nmプロセスを採用したロジックの量産に向けた準備とDRAMの先端投資が増えることから、前年度比10%増の1兆5835億円と予測している。
2027年度は、DRAMの先端投資とAI需要増加を受けたNAND投資の増加が見込まれることから、同15%増の1兆8210億円と予測。2028年度には、大手ファウンドリの第2期投資や2nmロジックの量産体制整備、メモリ投資の拡大が重なることで、同25%増の2兆2763億円に達するとしている。
SEAJによると、日本市場が2兆円を超えるのは初めてとなる。2026年1月時点では、2027年度の日本市場販売高を1兆5185億円と予測していたが、今回の7月予測では2027年度に1兆8210億円、2028年度には2兆円超えを見込むなど、日本国内市場についても成長見通しが大きく引き上げられた。
2028年度の日本製半導体製造装置販売高は7兆7718億円へ
半導体製造装置の日本製装置販売高は、2026年度に6兆5502億円、2027年度に7兆4017億円、2028年度に7兆7718億円へと拡大する見通しである。2025年度から2028年度までの年平均成長率(CAGR)は14.3%とされており、AIサーバ向け先端ロジック、HBMを中心としたDRAM、AIサーバ向けSSD需要を背景としたNAND、さらに先端パッケージング関連投資が市場を押し上げる構図となる。
2025年7月時点では、2026年度以降の半導体製造装置需要について、AI需要をけん引役としつつも、ロジックやファウンドリ投資の一部減速、米国関税政策などの不確実性も踏まえた見通しとなっていた。その後、2026年1月時点でAIサーバ向け先端ロジックとHBMを中心とするDRAM投資の底堅さを背景に上方修正されたが、今回の7月予測では、さらにAIデータセンター投資、メモリ価格の高騰、エージェンティックAIやフィジカルAIを含む新たな需要拡大が織り込まれ、半導体製造装置の成長シナリオが一段と強まった形となる。
半導体市場が想定を上回る速度で拡大する中、製造装置需要も先端ロジック、メモリ、先端パッケージングを中心に高水準で推移する見通しであり、SEAJの今回の予測は、日本製半導体製造装置市場が、2026年度以降に6兆円台、7兆円台へと一段階大きな市場規模へ移行する可能性を示すものとなった。

