NVIDIAは、生成AI向けGPUの需要急増を受ける形で、Super Hot Run(SHR:割増金を支払った特急処理)によるTSMCへの発注を実施した模様だと台湾メディアが報じている。

具体的には、H100とA100および中国向けGPUであるH800とA800がSHRの対象製品となっているようで、台湾半導体業界関係者の間からは、この注文は今年いっぱい続くとの見方がでている。特に、H100については、Google、Meta、Microsoftなどのメガクラウドサービスプロバイダー各社から合計で2023年末までに10万台以上の注文が入っていると見られており、それ以外の企業からの生成AI向け需要も高まっているという。

TSMCは2023年4月の投資家向け説明会にて、2023年第1四半期のビジネスは、マクロ経済の弱体化と最終市場の需要の軟化によって影響を受け、顧客はそれに応じて需要を調整することになったと述べていたほか、第2四半期も顧客のさらなる在庫調整により、業績に影響が出ることを予想していると説明していたが、今回のNVIDIAからの予想外の緊急注文によって、TSMCは5nmプラットフォームを中心に稼働率が高まる見通しで、その結果、TSMCの業績が好転すると見る業界関係者も多い。

なお、台湾の鴻海精密工業がこのH100 AIシステムの組み立ての90%を確保した模様で、同社も大きな利益の上増しが期待できるほか、台WistronもA100のメイン組み立てメーカーとして、鴻海同様、業績が向上することが期待されるという。