シリコンウェハの原料である多結晶シリコンや高純度薬液を製造する化学メーカーのトクヤマは2023年5月24日、同日開催の取締役会において韓国で同社同様に多結晶シリコンや高純度薬品を製造している化学メーカーであるOCI(元Oriental Chemical Industrial)とマレーシアでの半導体用多結晶シリコン事業を協業する覚書を締結することを決議したことを発表した。

トクヤマは現在、中期経営計画の中で事業ポートフォリオの転換を掲げており、電子・健康・環境という成長事業への経営資源の投入による事業拡大を図っていくとともに、国際展開の推進を図っている。そうした中、今回の取り組みはその施策の一環となるもので、将来の世界的な半導体市場拡大に伴う多結晶シリコンの需要増加を見据え、クリーンエネルギーを使用した半導体用多結晶シリコンの生産・供給体制の構築に向けた取り組みとなると同社では説明しており、今後、OCIとの協業の可能性を模索し、CO2の排出量増加を抑えつつ電子分野の事業拡大の加速を目指していくとしている。

今回の協業の中身としては、半導体用多結晶シリコンの半製品の共同生産に関する合弁会社(年間生産能力約1万t)を2024年までに設立し、2026年より営業を開始しようというもので、製品化と販売については現状どおり各社が独自に行う予定となっている。

トクヤマは2014年からマレーシアにて太陽電池用多結晶シリコンの生産を行っていたが、経営不振となり2017年に現地法人であったトクヤマ・マレーシアの全株式をOCIに譲渡したという関係性もあり、今回の半導体用多結晶シリコンの半製品の生産でも同社と協力していくことにした模様である。

なお、今回の協業については関係各国の規制当局からの許認可が得られることを前提としており、それらに適切に対応しながら協業の検討を進めていくとトクヤマでは説明している。