Texas Instruments(TI)は、米国ユタ州リーハイにある同社の既存の300mmウェハ製造工場「LFAB」に隣接して新たな300mmファブを建設する計画を発表した。
ユタ州史上、経済投資としては過去最大規模となる110億ドルが投じられ、2023年に着工、2026年初めに生産が開始することが予定されている。完成後、これら2つの工場は単一の製造施設として稼働することになる。
LFABは、元はMicron TechnologyとIntelの3D XPointメモリ工場であったが、Micronは2021年に3D XPointの製造継続を中止し、製造装置を除き、土地と建物をTIに売却した。TIは、新たに装置搬入後、2022年末からアナログ半導体および組み込みプロセッサの製造を開始。今回のリーハイ工場の拡張により、TIとして800人の新たな雇用を生み出すだけでなく、間接的に数千の新たな雇用が創出され、ユタ州の経済発展に貢献するとTIでは説明している。
新たな製造施設は、エネルギー効率と持続可能性に関するグリーン・ビルディング評価システムの最高レベルである「Leadership in Energy and Environmental Design(LEED:エネルギーおよび環境設計のリーダーシップ) Gold」に適合するよう設計され、再生水の割合を従来のLFABの2倍近くに引き上げる計画であるという。
この新工場は、DMOS6(テキサス州ダラス)、RFAB1およびRFAB2(いずれもテキサス州リチャードソン)、LFAB(ユタ州リーハイ)を含むTIの既存の300mmファブを補完するもので、同社では生産能力の増強に向け、テキサス州シャーマンにも新たな300mmファブを4つ建設中である。
なお、TIのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼COOで次期社長兼CEO(Chief Executive Officer)のハビブ・イラン(Haviv Ilan)氏は、「エレクトロニクス分野、特に産業用および車載市場で半導体事業の成長が見込まれており、CHIPS法(CHIPS and Science Act of 2022)が成立した今こそ、社内製造能力を増強するためにさらなる投資を行う絶好のタイミングと言える」と述べている。