Micron Technologyは11月1日(米国時間)、1βプロセスを採用したDRAMの認定サンプル(QS)を特定スマートフォン(スマホ)メーカーならびにチップセット製造パートナー向けに出荷を開始したこと、ならびに9月より日本工場にて量産を開始したことを明らかにした。併せて11月2日に、アジア・太平洋各国のメディア向けに1βプロセスDRAMの概要などに関する説明会を開催した。

  • 1β DRAM

    1β DRAMの量産化では、競合他社に4四半期分、技術的にリードをして見せたと同社では説明する (資料提供:Micron)

今回、量産が開始され、特定パートナーにQS品の提供が開始されたのはLPDDR5Xで、2023年に発売されるスマホに搭載される見通しだという。

  • 1βプロセス採用のLPDDR5X

    1βプロセス採用のLPDDR5Xのパッケージイメージ (画像提供:Micron)

1βは10nm台のDRAMプロセスとして第5世代(1X、1Y、1Z、1α、1β)に位置づけられ、Micronでは13nmクラスという呼び方もしているという。これまで同様、EUVプロセスは採用せずにArF液浸プロセスのマルチパターニングによって製造されており、キャパシタのアスペクト比の最適化や第2世代High-k/メタルゲート(HKMG)技術の採用などによって、電力効率は1α比で約15%向上、ビット密度は35%以上の増加を果たし、ダイあたり容量16Gビットを実現したとする。また、データ転送速度8.5Gbpsを達成するほか、JEDECの新仕様で、最大3,200Mbpsまでサポートする周波数ティアである動的電圧・周波数スケーリング拡張コア(eDVFSC)をLPDDR5Xでは実装しており、省電力制御が改善され、エンドユーザー個々の使用パターンに応じた、より効率の高い電源使用が可能になるともしている。

  • 開発された1β LPDDR5Xの概要

    開発された1β LPDDR5Xの性能概要 (資料提供:Micron)

Micronでは、1βプロセスはLPDDR5Xのみならず、広範なDRAM製品に適用できるとの見方を示しており、その中にはGDDRやHBMも含まれているとのことで、そうしたLPDDR5X以外のDRAM製品については2023年以降、順次展開していく予定としている。

  • 1β DRAM

    1βプロセスは広範なアプリケーションに適用できる技術だという見方を示している (資料提供:Micron)

また、現在は広島工場での生産が進められているLPDDR5Xだが、こちらは順次、台湾での量産も行っていく予定としている。

なお、DRAMに対するEUV適用について同社では、少なくとも1βまでは、現行のArF液浸を用いたマルチパターニングの方がさまざまなパラメータの値が上回っているとするほか、EUV技術そのものが成熟するにはまだ時間が必要との見方を示しており、次世代プロセスとなる1γ以降にて導入検討が進められるとも見方を示している。

  • 1β DRAMウェハ
  • 1β DRAMウェハ
  • 1β DRAMウェハ
  • 1β DRAMウェハ (画像提供:Micron)