韓国の専業ファウンドリDB Hitekは、世界的な半導体不足を受け、フル稼働で操業を続けているが、主力の8インチ(200mm)ウェハ向け半導体製造装置の入手が困難なうえ、ファブの新設には巨額の資金が必要かつ稼働するころには半導体不足が解消している恐れがあることから、ファブの増設は行わず、収益性の高い高付加価値製品を中心に既存ラインの再整備を進めていると韓国メディアが報じている。

同社には現在、ウェアラブル、IoT、ワイヤレスイヤホンなど急成長市場けアナログ半導体分野の顧客から注文が殺到しているという。その結果、2021年の売上高は前年比30%増の1兆2147億ウォン(約1200億円)、営業利益も同67%増の3991億ウォン(約390億円)となり、売上高1兆ウォン超え、営業利益3000億ウォン超えを同時に達成したのは創業以降初めてだという。

同社の2021年の同社の受注残高は、前年比40.2%増の13万4706枚(8インチウェハ)となっている。すでに2021年に1152億ウォン(約110億円)を投資し、ボトルネックになっていた工程の解消や生産ラインの再配置などを進めてきており、それにより2022年の生産能力は月産15万枚(8インチウェハ)まで増える見通しとしている。

生産ラインの再配置で顧客の生産委託品が製造中止に

今回の同社の生産ライン再配置は、より収益性の高い高付加価値製品を中心に据える取り組みとなるため、収益性の低いレガシー製品の受託生産の取りやめなどが進められている模様である。すでに25年以上前に開発された350nmプロセスについては、製造に手間がかかるうえに顧客数が減少したことを理由に生産中止を顧客に通知し、180nmプロセスの採用を推奨しているという。

こうした動きのため、同社に生産委託をしていた日本のトレックス・セミコンダクターは、主力製品である電圧レギュレーターやDC/DCコンバータなどの50製品シリーズを超す電源管理ICの受注を2022年6月末で終了することを2021年末に発表している。トレックス・セミコンダクターによると、14品種を除き後継代替品を開発するとしているが、ウェハプロセスを変更すると、現在供給している製品とまったく同じ仕様にはならないため、機能や特性が変更になる可能性があるという。