Lam Researchは2月9日(米国時間)、ゲートオールアラウンド(GAA)構造のトランジスタ開発に取り組む半導体メーカー向けに新規ケミストリを採用した3種類の高選択エッチング装置を発表した。

  • Lam Research Selis

    Lam Researchの高選択エッチング装置「Selis」の外観 (提供:Lam Research)

ムーアの法則を今後も維持していくために、トランジスタをトランジスタを垂直に積層する技術の開発が進められているが、その技術的ハードルをクリアするための課題がまだまだ残されている。

今回発表された高選択エッチング・ソリューションは、制御性のよい高選択、かつダメージフリーな材料の除去プロセスを提供することで、最先端ロジックで求められるナノシートやナノワイヤの形成をサポートするとともに、平面的なスケーリングの限界に達したDRAMの3次元構造への発展を可能にするという。

同社の高選択エッチング装置のポートフォリオは、以下の3種類の装置から構成されている。

  • Argos:革新的なMARS(Metastable Activated Radical Source)技術を採用することで、ウェハ表面を選択的に改質、除染。その表面処理能力とコンディショニング能力により、ウェハ表面を精密に処理し、高い性能を発揮できるように最適化することを可能とする。
  • Prevos:酸化物、シリコン、金属に対する原子層レベルでの加工精度と高選択エッチングを新規ケミストリと次世代気相(Vapor)技術とを高速な温度制御と組み合わせることで実現。独自開発の新規ケミストリを採用しているが、半導体メーカーの生産要求に応じて他のケミストリを追加することも可能だという。
  • Selis:ラジカルエッチングとサーマルエッチングの両機能を用いる独自の機構により、デバイス構造にダメージを与えることなく、構造の上部と下部とで均一に制御された高選択エッチングを実現する。

なお、PrevosとSelisは、多層膜の選択エッチングや、待機時間(Q-Time)管理の改善、生産の柔軟性の向上などの目的に使用することも可能だとしている。

すでに、Samsung Electronicsをはじめとするファブで運用されており、先端ロジックウェハの開発プロセスにおける、十数にも及ぶ重要な工程をサポートしているとのことで、Samsungの半導体R&Dセンターのマスター(技術系専門職)であるKeun Hee Bai氏は、「半導体業界は、継続的により強力、より高速なデバイス性能を目指して突き進んでいる。継続して進むデバイスの高集積化と複雑化に対して、高選択エッチング技術は、最先端ロジックデバイスを製造する上で重要な技術である。Samsungの技術に対する世界的な需要は急増し続けているため、生産強化のほか、最先端のGAAロジック、そしてその先へと向かうデバイス・ロードマップを加速させるために、高選択エッチング装置を活用している」と述べている。