独Infineon Technologiesは9月17日(現地時間)、同社がオーストリアのフィラッハに構える拠点で300mmウェハ工場の操業を開始したことを発表した。この操業開始に合わせてオープニングイベントも開催された(Photo01~03)。またこれに先立ってプレスカンファレンスも行われた(Photo04)ので、この内容を簡単にご紹介したい。

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    Photo01:COVID-19の影響を避けてオンラインとなったオープニングイベントの最後では、同社のExectiveがスマートフォンのボタンを一斉に押して「操業をスタート」した

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    Photo02:すると、今回のテーマである“Ready for mission future”を掲げた4つのFOSBが下りてきて、最後に同工場で最初に製造されたウェハが登場

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    Photo03:そのウェハがお披露目

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    Photo04:左からSabine Herlitschka氏(Infineon Austria CEO)、Reinhard Ploss氏(Infineon CEO)、and Jochen Hanebeck氏(Infineon COO)。右端は司会進行のBernd Hops氏(VP, Communications & Public Policy)

もともとInfinionはフィラッハに1970年代から半導体工場を設けており、1979年には4インチウェハでの量産を開始、その後1997年には6インチ、2000年には8インチウェハの製造をそれぞれ開始している(Photo05)。

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    Photo05:フィラッハのTimeline。当然1970年の段階ではまだInfineonに分社化する以前であり、Siemensのオーストリア工場として操業を開始している

このフィラッハは主にパワー半導体の製造を担っていたが、高まるパワー半導体の需要を先取りする形で2018年5月に300mmウェハ工場の増設を決定。建設の状況は写真(Photo06)および動画で随時公開されており、2020年5月には建屋が完成、2021年5月には製造装置の導入も完了。この度操業を開始したという訳だ。もっとも当初予定(2021年初頭に操業開始)に比べると半年ほど遅れている格好だが、これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響との事であった。

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    Photo06:InfineonのWebサイトより。奥の工場はまだ建設途中

工場建屋面積は6万m2、クリーンルーム内の自動製造装置のラインは6kmにも及ぶ。総投資額は16億ユーロであり、400人の新たな職がこの新Fabで生まれたとする(現状の充足率は2/3程度だそうで、なのでまだフル稼働させるためにはエンジニアをあと130人ほど雇用する必要がある)(Photo07)。

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    Photo07:オンラインでのFab内部。まだ製造装置の配置にはかなりゆとりがあるようで、必要があればさらに製造装置を導入して生産量をあげられそうだ

この新Fabではパワー半導体の製造を行うとされ、その中にはSiC製品も含まれるとの事。フル稼働した場合、このFabだけで年間20億ユーロの売り上げを見込んでいるとする(なお生産ウェハ数は現時点では公開されていない)。またこのフィラッハのFabは、同社のドレスデンのFab(こちらは2011年から300mmウェハでの製造を行っている)と連携してVirtual Fabを構築できるとしており、生産能力の調整とか、片方のFabに何か支障があった場合の代替生産などがスムーズに行えるように配慮されている。

実を言えばドレスデンでは9月13日に広域の停電が20分に渡って発生。InfineonとBosch、GlobalFoundriesの3社のFabが停止する騒ぎとなった。Broombergの報道によれば、この停電でInfineonのFabは16日まで操業を停止する羽目になっており、損害額は現在算定中との話である。先月末にCEOのPloss氏は、チップ不足は2023年まで続くだろうという見通しを語ったばかりだが、これを助長するような騒ぎになった訳だ。ただ今回は間に合わなかったようだが、今後はフィラッハの新Fabによって代替生産が可能になるし、今回の停電に伴うチップ不足の影響をフィラッハの立ち上げでカバーする事も考えられる。

大手ファウンドリが一斉に工場の増設や新設に走っているが、今から立ち上げても操業を開始するのは早くて2024年といったあたりであり、それに先んじて操業を開始した同社の先見の明を認めるべきだろう。