日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、2020年度(2021年3月期)~2022年度(2023年3月期)の半導体ならびにFPD製造装置の(2021年年初版)需要予測を発表した。
日本製半導体製造装置の市場推移予測
2020年度の日本製半導体製造装置の販売高(日系企業が国内および国外で製造し国内外で販売した金額)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により民生機器や車載関連の生産が落ち込んだ一方、データセンターや5G関連の投資が堅調に進んだ結果、前年度比12.4%増の2兆3300億円と予測されている。2021年度も、ファウンドリが高い投資意欲を見せているのに加えてメモリの投資が復活するため、同7.3%増の2兆5000億円、2022年度も同5.2%増の2兆6300億円と予測している。
2021年度の日本市場はメモリとイメージセンサがけん引
2020年度の日本市場半導体製造装置の販売額(日系企業および外資系企業の日本国内向け半導体製造装置の販売額)は、2019年度に投資を抑制していたメモリメーカーの復調により同17.7%増の8,191億円と予測されている。また、2021年度はイメージセンサやメモリの需要拡大を背景に同4.5%増の8562億円、2022年度も堅調な成長を見込み同4.6%増の8952億円と予測している。
新たな需要が生み出されつつある半導体産業
2020年度は半導体を消費するアプリケーションとして、スマートフォン(スマホ)に代表される民生機器や車載、産業機器で需要の減少が見込まれていたが、スマホでは中国最大手の減産を逆手に2番手以下が増産を実施。その結果、当初の見込みよりも減少幅が押さえられる結果となった。2021年度は各社の新端末が出そろい、5Gのカバーエリアも拡大するため、先進国を中心に普及率が高まることが予想される。
また、デジタル化の潮流によるデータセンター関連の需要は引き続き増加が続いていることに加え、世界的な自動車へのエレクトロニクス化による半導体需要増も期待されている。
ちなみにWSTSによると、2020年の半導体市場の成長率は、前年比5.1%増と見込まれており、2021年も同8.4%増となり、2018年の最高値を更新する見込みだという。また設備投資もデータセンター需要によるロジックならびにファウンドリの投資に加え、メモリ投資も復調する見通しで、米中摩擦による不透明感はあるものの、中長期的には成長が続くという見通しは変わらないという。
半導体製造装置+FPD製造装置の市場規模は2022年に史上最高値を更新
なお、SEAJによる2020年度の半導体製造装置とFPD製装置の合計販売額は、半導体が前年度比12.4%増、FPDが同11.7%減、全体で同7.9%増の2兆7500億円と予測されている。2021年度はFPDがG10.5向け大型案件が一巡する影響もあり若干のマイナス成長となるが、半導体が同7.3%増となり、全体でも同5.5%増の2兆9000億円、そして2022年度も全体で同5.5%増の3兆600億円との予測となっており、3兆円の大台に乗るのはSEAJの統計開始以来、初めてのことになるという。