Samsung Electronicsのスマートフォン(スマホ)生産拠点である韓国 亀尾(グミ)事業所(通称:Samsung Smart City)が、近郊の大邱広域市を中心に感染者が増大している新型コロナウイルスの影響により、数日にわたって製造ラインを一時閉鎖したと米国ならびに韓国の複数のメディアが報じている。

同事業所の女性従業員の1名が新型コロナウイルスの感染者であることがわかったためで、事業所全体を22日から24日午前にかけて閉鎖して消毒作業を行い、25日午前までその従業員の働いていた建屋のフロアへ立ち入りが禁止されたという。

Samsungは、スマホの生産の大半を亀尾からベトナムへと移管しているが、亀尾でも主に2つの製造ラインで国内向けにハイエンド機種である「Galaxy Z Flip」や「Galaxy Fold」などの生産を行っているという。

Samsungでは、ほかの半導体やディスプレイの生産拠点にはいまのところ影響がないとしているが、同事業所については、感染した従業員に接触したすべての従業員622名を自宅待機とし、大邱から通勤している900名あまりの従業員も一週間の自宅待機としたとしている。

これは同事業所の従業員の2割ほどが生産現場から離れることになることを意味しており、生産に支障が出る可能性が高いという。また、LG Displayのディスプレイ生産の本拠地である亀尾事業所も、大邱から通勤している900名の生産要員の構内立ち入りを禁止したという情報のほか、亀尾に拠点を有するほかの企業も同様の措置を取り始めているという話も伝わってきている。

なお、Samsungのスマホの大半を生産するベトナムだが、同国の商務省によれば、新型コロナウイルスの感染拡大により中国のサプライチェーンに依存してきたベトナムの製造業に影響が生じているとのことで、Samsungのスマホ生産にも影響が出る可能性がある模様だ。

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    Samsungのハイエンドスマホ製造拠点として位置づけられ、Samsung Smart Cityとも呼ばれる亀尾事業所 (出所:Samsung Newsroom Photo Gallery)