エス・エム・エスは10月19日、ケアマネジャーを対象とした「介護保険の自己負担額引き上げによる利用者状況の変化」に関する調査結果を発表した。調査期間は2017年7月28日~8月3日、調査対象は「ケアマネドットコム」に会員登録しているケアマネジャー、有効回答は575人。

家族への負担増加の影響も

同調査では、2015年の改正介護保険法施行により、一定以上の収入がある利用者の自己負担額が1割から2割に引き上げられたことで、利用者生活や介護保険サービス利用状況に変化が生じたかをケアマネジャーに尋ねた。

自己負担額が増えたことで、利用者の介護保険サービス利用等に変化はあったか尋ねたところ、83%が「ない」と回答し、「あった」は17%にとどまった。

変化が「あった」と答えたケアマネに具体的な内容を聞くと、「サービス利用回数や時間を減らし、家族による介護に切り替えた」が最も多く60%、次いで「サービスの一部利用をやめ、家族による介護に切り替えた」が42%と続き、家族介護に切り替えた人が多くみられた。

「あった」と答えた方にお聞きします。どのような変化がありましたか?(複数回答)

費用を負担できる能力を所得税額に応じて何段階かに分けて認定し、福祉サービスを利用するものが、それぞれの負担能力に応じてそのサービスにかかる費用の一部または全部を負担する「応能負担」については、「賛成」が44%、「反対」が17%。賛成理由としては、「財源不足の中、介護保険制度を維持するために必要」「年金額にばらつきがある以上、負担も同様に応能負担にすべき」などが目立った。

担当利用者や家族等から、これまで自己負担割合について質問されたことが、「ある」との回答は75%。うち、57%が「月々の支払額について聞かれたことがある」と答えており、同社は「利用者や家族が今後の介護サービス利用に少なからず不安や疑問を抱いていることがうかがえる」と分析している。