自動車や鉄道、建物、家電など、私たちの暮らしや社会の発展を支えている「鉄」。そんな身近で欠かせない素材は、どのような技術によってつくられ、どんな技術者が活躍しているのでしょうか。
日本製鉄の技術系インターンシップでは、初日のオリエンテーションや安全教育を経て、学生たちは社員が働く職場へ。先輩社員のサポートを受けながら実習テーマに取り組み、仕事の進め方や職場の雰囲気に触れていきます。
今回訪れたのは、茨城県鹿嶋市にある東日本製鉄所 鹿島地区。学生たちは2週間にわたり、「製鉄所の見学や実務に近いテーマへの挑戦」、「社員との交流」などを通して、何を感じたのでしょうか。インターンシップに密着し、「日本製鉄で働くこと」が少しずつ具体的になっていく様子を追いかけました。
製鉄所の職場へ!
技術者の仕事に触れるインターンシップがスタート
今回、学生たちが2週間を過ごす東日本製鉄所 鹿島地区は、世界トップレベルの生産性を誇る大規模な銑鋼一貫製鉄所です。約1,000万平方メートル、東京ドーム約210個分という広大な敷地で、自動車や家電に使われる薄板鋼板を中心に、鋼管や形鋼などさまざまな鉄鋼製品を生産しています。
そんな巨大な製鉄所でのインターンシップは、オリエンテーションからスタート。初日は、日本製鉄の事業や鹿島地区についての説明のほか、製鉄所で安全に過ごすための基本的なルールなどを学びました。
少し緊張した様子で、説明に耳を傾ける学生たち。今回のインターンシップには、学年や専門分野の異なる学生たちが参加しています。それぞれ、どのような思いで参加したのでしょうか。
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製鉄所というと、巨大な設備が24時間動いているイメージはありましたが、自分の専門である電気系の技術がそこでどう生かされているのかは、あまりイメージできていませんでした。実際に現場に入って、仕事内容や職場の雰囲気を知りたいと思ったのが参加のきっかけです。 |
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普段大学で学んでいることが、実際にどう社会実装されているのかに興味がありました。大学ではまだ基礎的な内容を学ぶ機会が中心だったため、実際の現場を見ながら、自分が学んでいることが大規模なものづくりの中でどのように生かされているのかを知りたいと思いました。 |
オリエンテーションを終えると、学生たちはそれぞれの担当部署へ。学生たちには、実習期間を通して身近でサポートする先輩社員がつきます。仕事や設備について教わりながら、実際の業務をもとに設定された課題に挑みました。
学生が主体となって、製造現場の課題に挑戦!
今回取材した学生の実習職場は設備・保全技術センター 制御技術部。鉄鋼製造プロセスでは、高炉から製鋼、圧延、表面処理まで、膨大な設備が24時間365日稼働しています。 設備・保全技術センターは、こうした日本製鉄の巨大かつ複雑な製造設備を対象に、設備エンジニアリングと保全技術の中核を担う組織です。制御技術部は、その頭脳として制御システムやAI、計測技術、電気設備を駆使し、製鉄所の安定操業や効率化を推進しています。
取り組んだのは、AI画像認識技術を活用した製造プロセスの高度化に関するテーマ。まずは先輩社員から現在の仕組みや課題について説明を受け、その後は学生たち自身で検討を進めていきます。
関連する資料を調べ、実際の設備や現場を確認しながら、まずは現状を把握します。そのうえで「どこに課題があるのか」「どうすれば改善できるのか」をメンバー同士で議論。分からないことがあれば先輩社員に質問・相談し、シミュレーションを重ねながら、自分たちで考えた改善案を形にしていきます。
実際の業務に近いテーマだからこそ、性能だけでなく、安全性やコストなど、あらゆる条件を踏まえて考える必要があります。学生たちは、大学での学びとは異なる、仕事ならではの難しさや面白さを感じたようです。
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参加する前は、仕事というと上司から言われたことをやるイメージがありました。でも実際に課題に取り組んでみると、自分たちで考えて、工夫して、検証していく。自分で考えながら仕事を進めていくことに、やりがいを感じました。 |
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実際の仕事では、ただ性能だけを追求すればいいわけではなく、安全性やコストなど、考えることがすごく多いと感じました。ビジネスとしてさまざまな視点を持ち、トータルで考える必要があるというのは、大学で研究しているだけではなかなか得られない視点でした。 |
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最初に必要な説明やフォローは行いますが、その後はできるだけ実習生たちが主体的に考え、議論しながら取り組んでもらいたいと考えています。必要な場面ではしっかりサポートしますが、すぐに答えを提示するのではなく、メンバーで協力しながら課題を乗り越える経験を大切にしています。また、そこから私たちにはない、学生ならではの新しい視点やアイデアにも期待しています。 |
製鉄所を歩いて見えてきた、鉄づくりを支える技術
実習テーマに取り組みつつ、学生たちは期間中、毎日製鉄所のさまざまな工場や設備を見学しました。
熱延工場や冷延めっき工場では、実際に鉄が加工されていく現場へ。日常では体験できない熱さ、巨大な設備、真っ赤に熱せられたスラブを間近にし、現場の迫力を肌で感じます。
なかでも冷延めっき工場は、学生たちを受け入れた部署が設備の制御に関わっており、学生たちが取り組む実習テーマにもつながる現場です。先輩社員からの問いかけに自分で考えて答えたり、疑問に思ったことを質問したりしながら見学しました。実習テーマと関連する設備を実際に見ることで、製造現場の仕組みや設備を制御する技術への理解を深めていきました。
さらに、製銑地区センターの建屋屋上からは、高炉などを眺めながら、鉄がつくられていく流れや、設備の振動や温度などのデータをセンサーで収集し、遠隔で状態を確認できる「NS-IoT」の仕組みについても説明を受けました。
また、原料ヤードセンターの屋上からは、海外から運ばれてきた鉄鉱石などが並ぶ広大なヤードを見学。鉄づくりに使われる原料について学びました。
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製鉄所では、大規模な設備のなかで鋼が高速に流れており、その動きを高い精度で制御する必要があります。学校で学んだ方程式をそのまま当てはめるだけではなく、さまざまな要因を考えながら制御する必要があることを、現場を見て実感しました。 |
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これまで、設備部門で電気系の技術がどのように使われているのかイメージできていませんでした。でも見学してみると、センサーで測定したデータをフィードバックして制御するなど、これだけ大きなスケールのなかで、とても緻密なことをしている、というのが印象的でした。 |
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最初に資料を見せて製造工程を説明しますが、それだけでは実際にどう鉄がつくられているのか、なかなかイメージできません。だからこそ、できるだけいろいろな工場を見てもらいたいと思い、見学の機会を作りました。設備の大きさや現場の熱さなども含めて、製鉄所の迫力を体感してもらえたらと思っています。 |
活躍の舞台は海外にも! 体験から将来のキャリアを考える
インターンシップでは、技術や設備について学ぶだけでなく、自分自身の強みや、将来どのように働きたいかを考える機会も設けられています。自己分析や研究内容を伝えるワーク、先輩社員による海外での仕事の講話を通して、学生たちは技術者としてのキャリアに目を向けていきます。
自分の強みや、研究の伝え方を見つめ直す
プログラムでは、これまで熱中してきたことやその理由などを振り返り、自分が大切にしている価値観や、将来やりたいことについて考える自己分析も行われました。さらに、自分の研究内容を専門外の人にも分かりやすく伝える練習にも取り組みました。
海外で働いた先輩社員に、仕事のリアルを聞く
さらに、USスチールの新規設備立ち上げに携わった先輩社員から、設備の試運転やトラブル対応など、自身の経験を交えた海外での仕事についての講話もありました。
「設備の性能や制御を改善することで、生産能力や品質の向上につながります。大規模な製鉄所だからこそ、一つの技術改善が大きな成果につながる。若手のうちから海外の設備に関わり、こういった成果を生み出せる機会もあります」という先輩社員の話に、学生たちも興味深そうにうなずきます。
講話の後には、「専門外の技術が必要になったときはどう対応した?」「現地では自分の提案をどこまで反映できる?」など、学生たちから次々と質問が。海外の大規模な設備に若手のうちから関わり、技術者として挑戦する働き方を知る貴重な機会となりました。
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日本では設備系の技術者がいるのが当たり前だと思っていましたが、海外ではそうではなく、日本で身につけた技術やスキルが特別なものになることもあると知りました。自分の技術が海外でどれくらい通用するのか、私も挑戦してみたいと思いました。 |
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日本製鉄では海外での事業も広がっていて、技術者が海外へ行く機会も増えています。部署内にUSスチールへの短期派遣から帰ってきた社員がいたので、学生の皆さんにも海外で働いた経験を直接聞いてもらえる場を設けました。これからは、日本で学んだ技術を活かし、グローバルに活躍できる技術者がより求められていくと思います。 |
メンバーと挑む資料づくりとプレゼン練習
インターンシップも終盤に差しかかると、最終日の発表に向けた準備も佳境へ。メンバーで意見を出し合いながらスライドを作成し、先輩社員からアドバイスを受けて修正を重ねます。
発表前日には、本番と同じようにスライドを映しながら、先輩社員の前で発表練習。15分の持ち時間に収まるかを確認するとともに、内容の伝わりやすさや想定問答まで細かくチェックし、本番に備えました。
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発表資料を作る経験がほとんどなかったのですが、資料の作り方や、どうすれば分かりやすく伝えられるかなど、メンバーから学ぶことも多かったです。とてもいい経験になりました。 |
職場の雰囲気も見えてくる! 社員や仲間との交流
もちろん、インターンシップで得られるのは、業務に関する学びだけではありません。 初日には社員との懇親会が開かれ、その後も日々の実習を通して、さまざまな社員と交流。指導員となる先輩社員からは、実際の就職活動の経験を身近に聞くことができます。また、若手からベテランまで幅広い社員と接する機会もあり、社員同士のやり取りなどからも、職場の雰囲気を肌で感じることができました。
さらに、インターン生同士の交流も、参加学生にとって印象に残る経験となったようです。同じ環境でインターンシップに参加するなかで、学生たちは次第に打ち解けていきました。休日には一緒に出かけ、交流を深めた学生も。大学や専攻を越えた横のつながりも、このインターンシップで得られた大きな収穫となりました。
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休日にはインターン生同士でレンタカーを借りて、鹿島神宮や大洗などにも遊びに行きました。大学も研究内容も異なる学生と2週間一緒に過ごすなかで仲良くなり、励まし合えたことも、参加してよかったことの一つです。 |
学生の身近で実習に伴走した先輩社員は、その変化をどのように見ていたのでしょうか。工場見学や実習中のやり取りを振り返ってもらいました。
「学生たちを身近で見ていて、日に日に知識を身につけ、理解を深めていることを感じました。たとえば、工場見学では、ただ説明を聞いてもらうのではなく、『なぜこの設備があると思う?』『これは何をするものだと思う?』と問いかけながら、できるだけ自分たちで考えてもらうようにしていました。最初は分からないことも多かったのですが、いろいろな現場を見るうちに、だんだん質問の内容が具体的になっていって。最後の方にはかなり鋭い質問も出てきて、こちらが驚かされることもありました。」
「せっかく2週間参加してもらうので、製鉄所の迫力や働く人たちの熱量を肌で感じ、日本製鉄の仕事のスケールと面白さを存分に体感してほしいと思っています。そして、ここでしか学べないことや気づきを一つでも多く持ち帰って、大学での研究や将来の可能性を広げるきっかけになればうれしいですね。」
いよいよ最終発表! 実習の成果を自分たちの言葉で
そして迎えたインターンシップ最終日。2週間かけて取り組んできた実習テーマの成果を、社員の皆さんの前で「報告」という形で発表します。発表には、日頃から学生たちを指導してきた先輩社員だけでなく、部署内の役職者も参加し、成果を見届けました。
学生は資料を提示しながら、これまで調査・検討してきた内容や、そこから導き出した改善案を説明。緊張感のあるなかでも、落ち着いてプレゼンを進めます。
質疑応答では、専門的な内容に踏み込んだ鋭い質問も。なかには、すぐには答えの出ない難しい問いもありましたが、学生たちはこれまで学んできたことを振り返りながら、その場で懸命に考え、自分たちなりの答えを返していきました。
社員からの質問には、技術者として働くうえで必要となる視点や考え方も込められており、最終発表も学生たちにとって新たな学びの機会となりました。
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発表に向けて準備や練習を重ねてきましたが、質疑応答で、自分たちがまだ理解しきれていなかった部分にも気づけました。想定していなかった質問についてその場で考えることも含めて、最後まで学びのある発表になったと思います。 |
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2週間取り組んできたことを、100%出し切れたと思います。最初は分からないことも多かったですが、メンバーと一緒に考えて、最後に自分たちの改善案として発表できたことに、達成感がありました。 |
社員へ伝えた2週間の思い。インターン最後の挨拶
2週間のインターンシップも、いよいよ終了のとき。学生たちはお世話になった社員の皆さんを前に、一人ずつ最後の挨拶をしました。
「社員が熱心に仕事に取り組む姿から職場の雰囲気を知ることができました」、「製鉄所という大きなスケールのなかで、実はとても緻密なことをしているのが印象的でした」と、それぞれがインターンシップを振り返ります。その姿を、社員の皆さんも笑顔で見守っていました。
「働く自分」が見えてきた。学生たちが得たものとは?
実際の職場に入り、実務に近い課題に向き合いながら、工場見学や社員との交流など、さまざまな経験を重ねた2週間。最初は分からなかった製鉄所の仕事も、日を追うごとに理解が深まり、学生たちの中には「ここで働く自分」の姿も少しずつ見えてきたようです。
最後に、インターンシップを終えた学生たちに、今回の経験を振り返ってもらいました。
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実際に製鉄所の中に入ってみると、外から見ているだけでは分からないことが本当にたくさんありました。実際の仕事や働く環境を知ることができたのは、これから自分の進路を考えていくうえでも、とてもいい経験になったと思います。 |
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2週間あったからこそ、工場を見学するだけでなく、実際の職場で仕事に近い課題に取り組み、社員の方々ともいろいろな話ができました。短い期間では分からない職場の雰囲気や仕事内容まで知れて、働くことをより具体的にイメージできるようになったと思います。 |
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製鉄が自分の専門ではないからと、最初から線を引く必要はないと感じました。分からないことがあっても、周りの方に聞きながら理解していけばいい。挑戦したいという気持ちを受け止めてもらえる環境だと感じたので、興味があるなら専門にとらわれすぎず、ぜひ挑戦してみてほしいです。 |
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日本製鉄の仕事はチームで取り組むことが多いので、学生同士で一緒に課題に取り組むことは、実際の仕事の仕方と近いです。社員が働いているすぐそばで一緒に仕事を体験するという機会も、なかなかないと思います。大学で学んできた知識が、社会の中でどのように活かされ、どのような価値を生み出しているのか。ぜひ現場でその手応えを感じてほしいです。将来研究やキャリアを考える上で、新たな発見や可能性に出会える2週間になればうれしいですね。 |
気になった方は、日本製鉄のインターンシップに参加し、自分の目で「働く自分」を確かめてみてはいかがでしょうか。
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