近年、食事にかける時間が減ったり、やわらかい食べ物を好む人が増えていたりすることで、「噛む離れ」が進んでいるといわれています。
実は「噛む」ことにはたくさんの良い効果があり、たとえば、集中力アップや脳の活性化、さらには目の疲れ防止にまで影響するそうです。
そこで今回は、「噛むことで得られるメリット」をロッテが実施した「噛む力(かむりょく)」調査の結果と栄養学の専門家である和洋女子大学 柳沢幸江教授のコメントとともに紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
今回、ロッテが実施した全国「噛む力」調査 は、全国47都道府県毎に20代~60代の男女100名ずつを対象(取得期間:2021-10-23~2020-10-27)に実施。本調査で行った「噛む力」とは、具体的には以下のように定義されています。
日常における「よく噛むこと」に対する意識や、夕食時一口あたりの咀嚼数・ガムを噛む頻度といった行動面、噛むことの健康効果や食べ物の種類別の必要咀嚼回数への理解度といった知識面の、主に3要素で構成された質問の回答結果を、(株)ロッテ「噛むこと研究部」が健康面において好ましい回答順に点数を割り振り、偏差値で算出した結果。ですので、ここでの「噛む力」は「噛む強さ(咬合力)」のことではありません。
実際にどれだけ噛んでいるのかはもちろん、噛むことに対しての意識の高さや、噛むことが健康にどんな影響をもたらすのか理解しているかも踏まえて算出。その結果、年代や性別で噛む力に違いが表れました。
まずは噛むことへの意識についてですが、「食事の際に『よく噛むこと』を意識していますか」という質問に対し、「あまり意識していない・まったく意識していない」と回答した人が全体の63%という結果に。なかでも年齢別・性別の調査では40代男性が特に高く、70%以上の人が「意識していない」と回答。半数以上の人が「よく噛むこと」をなかなか意識できていないことがわかりますね。
ちなみに、専門家が推奨する一口あたりの噛む回数は30回以上となっていますが、今回の調査ではなんと96%は30回噛めていないということが判明。
またそのほかにも、「噛む力」は60代女性が最も高く、40代男性で最も低いという結果がでていました。
噛むことが健康に良いということは、ほとんどの人が知っています。にも関わらず、実際に噛めている人や、噛むことを意識できている人は、あまり多くないことがよくわかる調査結果になりました。
噛むことは大切だとわかっているのに、多くの人がたくさん噛めないのは食事の目的にその理由があります。私たちは「噛む」ために食事をしているわけではありません。食事の目的は、空腹を満たす、おいしいものを食べたい、楽しく会食したい等であって、噛むことではありませんよね。そのため、なかなか意識して噛むことを増やすのが難しいのです。
ロッテの「噛む力」調査の結果を受けて、マイナビニュース編集部でも年代別に咀嚼回数を調べてみることにしました。調査が示すように、本当に私たちは噛めていないのでしょうか……?
マイナビニュース社員におにぎり、ハンバーグを一口量(10g)咀嚼してもらい、噛む回数を測定する「バイトスキャン®」(シャープ株式会社) を用いて測定しました。なお、事前に調査目的を伝えると意識して咀嚼回数が増える可能性があるため、調査については詳細を伝えずに測定をしています。全員が咀嚼回数30回以下という結果に! なかでもこちらの30歳代の女性 は咀嚼回数が少なく、咀嚼回数が多めの社員と2倍以上の差がついていました。 この結果について、柳沢教授にコメントをいただきました。
皆さん、咀嚼回数が少ないのは「噛む力」調査の結果通りといえますね。興味深いのは、4人中3人がおにぎりの方がハンバーグより、僅かですが多く噛んでいますよね。つまり、噛む回数は人によって違うけれど、「おにぎりはハンバーグよりも噛む回数が若干多い」という相対的な結果は、多くの人に当てはまることがわかります。
これは、「食べ物を選ぶことで噛む回数を増やせる」ということです。飲み込むまで噛む回数は幼少期からの食べる習慣で決まるので、なかなか増やすことは難しいのです。意識して増やすにも限界がありますよね。
そこで、噛む回数を確実に増やす方法として「食べ物を選ぶ」ことをおすすめしたいと思います。たとえば、野菜なら柔らかい煮物だけでなく、炒め物や生野菜も食べる。挽き肉料理よりも焼き肉を選ぶ、といった選択をすることで、意識することなく噛む回数を増やせるのです 。
あるいは、食事での一口あたりの量を少なくすることも噛む回数の増加につながります。一口の量を少なくすれば、1回あたりの噛む回数はわずかに減りますが、それだけ食事を口に運ぶ回数も増えますから、トータルでは噛む回数を増やせるのです。
こうして見ると、本当に多くの好影響が「噛む」ことでもたらされるのだとわかります。特に脳の活性化や集中力の強化、ストレス低減などはビジネスパーソンには重要な要素ではないでしょうか。また仕事でPCを長時間使っている人にとって、目の疲れや乾燥を防ぐこともうれしい効果ですよね。
年齢を重ねてくると、血糖値上昇抑制や肥満防止、唾液中の免疫物質の増加、全身の筋力維持なども気になってくるところです。
こうした噛むことのメリットや、噛まないことのデメリットについて柳沢教授にお聞きしました。
噛むことは、それ自体が筋肉運動です。しかも脳に近い場所で筋肉運動をするため、脳血流が増し、脳に酸素や栄養が行き渡りやすく、集中力アップや脳の活性化といった好影響が出るわけです。ビジネスパーソンの方にはぜひ噛む回数を増やしていただきたいですね。実は私もデスクワークの時はよくガムを噛んでいます。
噛まないことによるデメリットとしては、よく噛まないと満腹中枢を刺激しにくくなるため肥満につながり、結果として肥満を引き金とする多くの生活習慣病になるリスクも増えます。一方で、噛まないことは高齢期の低栄養につながるリスクもあります。なぜなら、噛む力が落ちると、全体の食事量が低下し、栄養素の不足が生じやすいからです。
よく噛まないことで生じるリスクはできれば避けたいもの。とはいえ、柳沢教授のコメントでもあるように、習慣になってしまった噛む回数を急に増やすことは簡単ではありません。
そこで柳沢教授がおすすめするのが、噛み応えのある食品を食事に取り入れる事に加えて、“ガム”を噛むことです。実はロッテの「噛む力」調査によると、47都道府県で「噛む力」が高い上位の県は、そのまま「ガムをよく噛んでいる県」でもあることがわかりました。食事に加え、ガムを噛むことでいいことはあるのでしょうか。柳沢教授にお聞きしました。
ガムはすべての食べ物のなかで、ほぼ唯一「噛むこと」を目的に口に入れるものです。しかも、食物と違って、 同じ力、同じリズムで噛み続けることができます。普段の食事で噛む回数を増やしにくいのなら、食事の前後でガムを噛むという方法もあります。
たとえば食前にガムをしっかり噛むと食後の血糖値の上昇抑制につながったり、食後にガムを噛むと食後の熱産生(食後に体温が上昇する現象)によるエネルギー 消費が高まることがわかっています。
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噛むことが大切だということは誰もが知っているけれど、なかなか食事のたびに意識するのは難しいもの。それなら、ガムを噛むことで「噛む力」を維持してみてはいかがでしょうか。
また積極的にガムを噛んで、噛む力を鍛え、集中力をUPさせて効率よく仕事をこなして みませんか?
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ご当地名産品調査も実施今回、噛むこと研究室では、柳沢教授の監修のもと「噛む力」調査に加えて、「ご当地噛む名産品」調査も実施! 全国47都道府県の名物料理や漁獲・収穫量が多い食品から噛む食品を独自に選抜し、各名産品の一口あたりに必要な咀嚼回数を算出いたしました。最も咀嚼が必要な名産品は熊本県の「馬刺しステーキ」で一口当たりの咀嚼回数は、なんと“115回”!
調査結果について詳しくはこちら
柳沢 幸江(やなぎさわ ゆきえ)教授
和洋女子大学大学院 総合生活研究科 研究科長 教授
食事学、調理学、応用栄養学を専門分野とし、よく噛んで食事をすることの大切さを栄養学的視点・食事学的視点から研究。「かみごたえ早見表」を発表した。
1948年の創業以来ガムをつくり続け、“噛むこと”に取り組んできたロッテは、様々な研究機関や企業と連携し、日々「噛むこと」や「噛むことがもたらす力」を研究しています。例えば、全国「噛む力」調査や噛むことで認知症に備える研究など。
様々な「噛むこと」を研究しているロッテの「噛むこと研究室」。 どのような調査をしているのか気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。
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[PR]提供:ロッテ