タンス、冷蔵庫、洗濯機……重たいものを運ぶのも引越スタッフにとって重要な仕事のひとつです。そんな重たい荷物を運ぶからか、「働いているスタッフさんは、マッチョな男性が多い」というイメージを抱きがち。でも、実際は女性も多く活躍しています。しかし、なぜ暑いときも寒いときも重たい荷物を運ばなければならない引越業界で働こうと思ったのでしょうか? インドア派の筆者には検討がつきません。そこで、今回はアート引越センターでおなじみの「アートコーポレーション」で働く女性スタッフ2名に、引越業界で働く理由をおうかがいしました。
――本日はよろしくお願いします。早速ですが、なぜ引越業界で働こうと思ったのでしょうか? 率直な意見をお聞かせください。
高橋 私、元々「アート引越センター」でアルバイトしていたんですよ。学生の頃は部活をやっていて、継続的なアルバイトより単発的なアルバイトをやりたくて。また、体力にも自信があったので、引越業界でのアルバイトを選びました。
――学生時代から「アート引越センター」で働かれていたんですね! でも色々な引越業者があるなかでこちらを選ばれたのには、何か理由が?
高橋 あの……実は家が近かったからなんです……。
植山 あっ、私も一緒だ(笑)。
――おふたりとも家が近かったことがアルバイトを始めたきっかけだったんですね(笑)。
植山 なんかすいません……。あと、アルバイト情報誌を開いて、最初に目に飛び込んできた企業だったというのもきっかけでしたよ! それから、半年間アルバイトをやってそのまま正社員になりました。
――アルバイトから正社員になろうと思ったのはなぜでしょうか? インドア派の私なら、正直、アルバイトの段階で「もういいや」ってなっちゃいそうです……。
高橋 私もアルバイトから正社員になったのですが、ここで仕事をしていくうちに、もっとこの仕事ができるようになりたいと思うようになったんです。就職活動も並行してやっていたのですが、それよりも今やっている仕事の内容をより濃く行い、スキルアップしていきたいという強い気持ちが芽生えました。だから、就職活動を途中でストップし、「アートコーポレーション」への就職を決めました。
植山 私は自分の中で、ここなら「やりがい」をもって仕事ができると思えたからです。この仕事でしか経験できないことがたくさんあって、他の仕事とは違うなんともいえない魅力があるように思えました。私たちのような想いを持っている人が多いのか、アート引越センターはアルバイトから正社員になる人が多いんですよ。
――アルバイトから正社員になる人が多いのは、それだけの魅力があるからという裏づけのように感じます。働く前と後で引越業界に対するイメージは変わりましたか?
植山 かなり変わりました。正直、運ぶだけの仕事だと思っていたのですが、「接客業」も含まれていると常に感じています。
高橋 そうだね。本当に言葉ひとつでいろいろ変わるんだなということを実感しています。運ぶだけが仕事じゃない。弊社は接客面に重きを置いている会社だと思いますので、余計に感じています。
――なるほど。では、引越業界で働いていると、周りからどういう反応をされますか?
高橋 まず、「引越屋さんって女の子いたんだ」とよく言われます(笑)。やっぱり男性が働いているというイメージを持っている方が多いようです。自分も最初はそのイメージでしたし、そう思われるのは当然だと思います。
植山 お客様にはよく「女の子で大丈夫なの?」「手伝おうか?」と心配されます。でも逆にそう思われることを払拭しようという気持ちで仕事をしていますね。それもやりがいのひとつです。
高橋 わかる(笑)。「大丈夫?」という心配から「すごいな」「やるね」と言っていただけるように、努力して頑張っています。
――おふたりとも負けん気が強いんですね。でも、働いていると「大変だな」と思うこともあるんじゃないですか?
高橋 常に大変です(笑)。夏は特に! 日焼けを気にする人も多いですよ。
植山 私は逆に真冬の方が苦手です。寒さで動きが鈍ります。夏は夏で暑すぎてボーッとしますが。まぁどっちもです。
――確かに引越作業をしているスタッフさんを見かけたとき、大変そうだなと思うことが多いです。
植山 でもお客様に喜んでもらえると大変だなという気持ちも報われます。お客様に「引越屋さんのイメージが変わった」と言われると本当に嬉しいですね。
高橋 私も! あと、憧れの先輩と引越スタッフのコンテストで優勝したときも、「やっていてよかったな」と感じた瞬間でした。
――コンテスト優勝ですか! すごいですね。そんなおふたりの「やりがい」のために、仕事においてどのような工夫をされていますか?
高橋 コミュニケーションは常に取るよう努力しています。無言で早く作業するのは効率的かもしれないですけど、直接お客様にお会いする機会がある仕事ですので。お客様は新しい家に行くことでワクワクされていると思いますが、私たちのサービスで、より喜んでもらえたらと、いつも考えて仕事しています。
植山 女性ならではの細かいことで言えば、お客様の靴や玄関に置いてある物を少し避けて、物が運びやすくするとか。そういうことに気がつかない男性スタッフがいるんですよね(笑)。
高橋 わかる!
植山 あと、椅子を先に運んでおいて、お客様に座っていただくことなども心がけていますね。
――そういう細かい気遣いができるのは、女性ならではの強みかもしれませんね。最後に今後の目標について教えていただいてもよろしいでしょうか?
高橋 目標ではないかもしれませんが、女性社員をどんどん増やしたいなと思っています。イメージ通りの仕事内容かもしれませんが、「運ぶだけ」という仕事ではないので、やりがいは絶対にあります。
植山 負けず嫌いで全部自分でやってやる!という人はこの業界に向いているような気がします。決して女性ができない仕事ではないと思いますので、私たちと一緒に働いてみませんか?
――おふたりに出会って、私も「引越屋さん」に対する印象が少し変わりました。炎天下の中、笑顔で爽やかに働く二人は、女性の先駆者として、今後ますます活躍していただきたいです。
今回のインタビューで、私のように、引越業界に対するイメージが少し変わったという方もいるのではないでしょうか? ちなみに、「アートコーポレーション」は、育休取得率90%と、子育てへの理解もある企業のようです。世の中には様々な企業や業界があって、それぞれに「イメージ」があります。でも企業の中身をのぞいてみると、抱いていた「イメージ」とは少し違ったなんてことが、あるかもしれませんね。
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