ちなみに、これまでで一番「痛かった」経験は?

試合中はアドレナリンが出ているのであまり痛くないんですよ。骨折したり、膝の靱帯(じんたい)を切ったり、いろいろありますが、痛くなるのは試合後。一番痛いのは寝て、起きた翌日ですね。痛みに関しては、何度、繰り返しても慣れるものではありません。

まだ傷が残っているのですが、額をぱっくり切って血みどろになったときは逆にテンションが上がりました。「やりやがったな」、と(笑)

金網デスマッチでついたという額の傷を見せてくださいました

リングの上で闘っているときは何を考えているのでしょうか。

 いざ聞かれると困りますね…。何を考えているかなあ。「あのときはあそこで負けたからここでは絶対に負けたくない!」とか、過去のことがフラッシュバックしてくることもありますし、ダウンしているときに、「これが終わったらあのおいしいご飯が食べられる!」と思うこともあります。「ここで立ちあがって、勝って、あのステーキを食べるぞ」とかね(笑)。

毎日、どんな生活を送っているのですか。食事制限など我慢しなければならないことも多いのでは?

 いろいろなものを我慢していますが、一番はやはり食べ物ですね。私は空気を吸っても太るような体質なので、試合前は甘いものはご法度。本当は粉ものやチョコレートなど、太るものが大好きなんですけど。でもコンディションを整えるためには我慢するしかありません。ご飯は玄米にして、高タンパク、低カロリーのものを食べるように心がけています。

ストイックな毎日のなかで、気分転換の方法は?

私、コーヒーが大好きなんですよ。豆を買って、朝、豆をひいて淹れたりします。練習の合間にカフェに行って、本を読むことも幸せな時間です。本当はそこでスイーツも食べたいところですが、そこは我慢(笑)

読書も好きですね。私が神とあがめているのが、東野圭吾さん。彼の作品はほとんど読んでいると思います。また、勉強にもなるんですよ。プロレスも、小説の世界も「非日常」。私もいつもお客さんにいつもとは違う世界を体験してもらいたいと思っているので、東野さんが作る世界観の持っていき方はとても参考になります。結局、息抜きでやっていることも、すべてをプロレスにつながってしまいます。

最後に、プロレスラー、高橋奈苗選手の一番のアピールポイントは?

 パッション、ですね。プロレスに対する熱い思いは誰にも負けません。プロレスは私の人生そのものです。惰性では絶対にやりたくない! やるならそこに100%以上のものをかけてやる──、プロレスに限ったことではなく、私の人生のテーマでもあります。

→次ページ:高橋選手に四の字固めをかけてもらったら、記者が…